シダレヤナギ ― 2010/06/29 08:02
ここ数日、梅雨本番を思わせる雨の日が続いています。昨夜より熊本県を含む九州北部地方でも大雨洪水注意報が発令され、河川の増水や土砂崩れに注意するようにテレビでも呼び掛けてました。
大きな災害が起きない事を祈るばかりです。
こんな雨の季節、人の心と同じように木々の緑や花の色もくすみがちなんです。しかし、ご覧のシダレ柳の木は雨の中でも絵になる樹木の一つではないでしょうか?葉っぱが細くしだれる姿が雨粒を連想させるのか、或いは、川面に映る姿が何となく雨を思い起こさせるのかも?
大きな災害が起きない事を祈るばかりです。
こんな雨の季節、人の心と同じように木々の緑や花の色もくすみがちなんです。しかし、ご覧のシダレ柳の木は雨の中でも絵になる樹木の一つではないでしょうか?葉っぱが細くしだれる姿が雨粒を連想させるのか、或いは、川面に映る姿が何となく雨を思い起こさせるのかも?
上の写真は熊本市内日本郵政熊本支社前の川沿いのシダレ柳です。
実は先日熊本市役所の街路担当課から、この樹木の根元部分に異常個所らしきものがあるので至急健康診断をしてほしいとの連絡をもらいました。早速現地に赴いたときに全景を写したものです。
遠目には健全そうに見える樹木でも、幹周辺を詳しく観察してみると下の写真のとおり。
まさに満身創痍の状態で、過去に受けた様々なダメージが大きな傷となって残っていました。
その証拠が直径0.5~1㎝に満たない沢山の小さな孔です。これはカミキリムシがフンを外に出すための排フン孔と呼ばれるものです。孔の数からいってかなりの数のカミキリムシが樹木の木部を食害していたと推測されます。また、1.5m程の個所にはカミキリムシの食害痕から出来た横方向の亀裂も確認できます。
しかし、さらに深刻なのは根元付近に確認できる空洞です。樹木の表から見る限りでは直径7~8㎝程の小さな空洞でしかありませんが、奥行きは深く、幹の反対側へと続いていました。さらに、この空洞の周辺を樹木医の必需品である木槌で叩いてみると『ポコポコ』という内部の空洞、或いは腐朽を示す異常音を確認でき、その範囲は幹の上の方4m程の高さまで広がっていたのです。
外から見ただけでは判らなかった内部の腐朽はかなり深刻な状態まで進んでいました。
このような事実を踏まえてA4判4ページ程の報告書を書いて提出しました。その結論はこのシダレ柳は強風の際に倒木の危険があるので、伐採して新しい樹木を植栽するとの事になりました。おそらく根元付近に大きな空洞が出来た原因は、カミキリムシの食害痕から腐朽が広がったものではなく、周辺の道路の舗装や石垣の設置をする際に、シダレヤナギの根を切断してその傷痕から腐朽菌が侵入したものではないかと推測されます。もちろん、カミキリムシの食害による樹木の衰弱が腐朽の拡大を助長した事はあると思いますが、空洞の大きさから考えて、根系の切断のような大きなダメージを受けた事が原因と考えるのが自然だと考えます。
少し長くなってしまいましたが、あとは行政の担当者が伐採した後にちゃんと後継樹となるシダレヤナギを植栽してくれて、川面に映る緑のイメージを壊さない事を祈ります。