正月前の庭の手入れ2013/12/28 17:31

本日12月28日で会社の現場での作業は終了です。人手不足の中、無理にお願いして個人のお庭の剪定作業を手伝ってくださった同業の職人さん達、本当に有難うございました。

写真は熊本市内中央区のM様邸のお庭です。当社の先代の社長が庭造りをさせていただき、以来40年間毎年お手入れをさせて頂いています。玄関横にはツクバイが置かれており、その中に溜まった葉っぱを取り除いているところです。

M様邸つくばい

造園後40年も経つと植栽した樹木だったのか、元々ここに生えていた木だったのかの区別がつかなくなっているものが多くあります。下のエノキもそういう樹木のうちの1本です。株元に植栽したアオキとの相性もよく、自然な雰囲気を演出してくれているようです。

M様邸園路

落ち葉の後の池掃除は一仕事ですが、ここは江津湖周辺の湧水地にお庭を作ったため、水温が冬でも一定しているので、少しは楽なのかもしれません?

M様邸池清掃

最後はお庭の塀の外に散っている葉っぱや枝を、ブルーシートに集めて作業の完了です。このお宅では庭師さん7人と手伝いの女性1人の計8人で作業をおこないました。特に門から玄関までの園路を念入りに仕上げていたみたいなので、きっと来年も福が来ることでしょう。
M様邸門

今年、1年間このブログを見ていただいた方々、大変ありがとうございました。
皆様にとっても来年がより良い1年でありますように!

私も来年も緑の話題を出来るだけ多く提供していくつもりですので、何とぞよろしくお願いいたします。

庭木の手入れ2013/11/22 09:40

今年もこの季節がやってきました。そうです、お正月を前に個人庭園の庭木の手入れが最盛期を迎えています。庭木の手入れはお盆前と正月前の今の季節、年に2回行うお家が殆どです。ですので、この時期は通常の造園工事に加え剪定作業に対応する人出も必要になるため、大忙しの毎日です。

この日は、熊本市内の某邸を竹梯子を掛けて行いました。

松の木の剪定
 
手前の松の木に掛けた梯子は16段です。一番上の段でおよそ6.5mの高さになります。一見、不安定な印象ですが、竹本来が持っている柔軟性と横に掛けたロープによりアルミの脚立よりずっと安定感があるのです。アルミの脚立の様に上に乗ってバランスを崩したとしても、すってんころりという具合には転倒しません。
もちろん誰でも気軽に使える道具ではなく、使いこなすためにはそれなりの熟練が必要ではあります。

槙の木の剪定

今年は夏の暑さがあまりにも厳しく、雨が少なかったせいでしょうか、いつもの年に比べて、松や槙の木の葉の出方が少ないようです。

樹木剪定

比較的低い場所では扱いが簡単で持ち運び便利な、アルミの脚立を使ったりします。
これから年末に掛けて、竹梯子とハサミが大活躍の毎日が続きます。


常緑山法師2012/06/12 17:29

 熊本県を含む九州北部もいよいよ梅雨入り、これからジメジメじっとりの不快な季節がしばらく続きます。この季節、アジサイの花も盛りを過ぎ、花ショウブが見ごろを迎えていますが、一般の家庭でこれを楽しむには必要とする面積的な点の他にも色々と問題がありそうです。やっぱ菖蒲園みたいな場所に出かけで愛でる植物なのでしょうね?

 そこで、この季節のジメジメ感を一掃してくれて、しかも、狭くてあまり日当たりのよくない場所でも育つという便利?な樹木をご紹介します。

 それが下の写真の“常緑山法師”です。熊本市内中央区M様邸に一昨年の秋に植栽したものです。植栽当初は1.5m程の樹高だったのですが、現在では2倍ほどに成長しています。
常緑山法師

 北側の庭の狭いスペースでもご覧のように、枝全体にまんべんなく花を咲かせてくれます。ご主人様曰く「花が多すぎで若干うるさいと思ったのですが、家に帰って真っ白に咲き誇った姿を見ると、何だか気持ちが明るくなります!」だそうです。
 人間、能天気なさまを見るとどことなく気持ちが安らぐのかもしれません?

因みに、この樹木の正式名称は常緑ヤマボウシ ホンコンエンシス月光というそうです。
ホンコンエンシスの改良版でより花付きを良くしたとありました。そういう点では品種改良に成功した一例なのでしょう。
 
 皆さんご存知と思いますが、ヤマボウシやハナミズキの花に見える部分、この場合は白い部分は花ではなく総苞片と言い、いわゆるがくに当たる部分です。花は額の中心の頭状になった丸い塊です。


遂に完成!2012/03/22 09:02

 このブログで過去3回に渡りご紹介している和風の庭(坪庭)がついに完成しました。工事の期間中雨にたたられ、一時は中断もありましたが、先日やっと出来上がりました。綺麗に整地が出来たことにより、施工中のグチャグチャの状態は無事解消、すっきりとした仕上がりになっています。

 下の写真は既設の園路(鉄平石張り)から全体を見渡した様子です。樹木は株立ちのヤマボウシやウメモドキ、モミジやアセビなど自然樹形の樹木を植栽しました。横に枝葉が張っておらず、1本1本の幹が細い分、空間の広がりというか、奥行きを演出できたのではと考えています。
K.J様邸完成1
 
 次の写真は玄関脇の蹲踞周りです。手水鉢は施主様がお持ちになっていたものを流用させていただきました。本来ならば棗型の物を考えていたのですが、設置してみればこれでも良いのかなという感じです。許容範囲内です。(笑)
 蹲踞の手前には焼き瓦を埋め込みセキショウを植栽して水場の雰囲気を演出してみました。手前の赤い実のなっている植物はセンリョウです。坪庭などにはよく使われいる植物で、切り花としても人気があります。
K.J様邸完成2

 最後の写真は蹲踞とは反対側に当たるコーナーです。奥にある石の水槽も施主様の家にあったもので「別に使わなくても良いんだけども、もしよかったら。」とおっしゃっていたので、喜んで使わせていただきました。下草のヤブコウジやフッキソウ、セキショウ等が育ってくれば、背景の石のグレーとマッチして、より雰囲気が出てくるのではないかと思います。
K.J様邸完成3

 私たちは昼間しか庭を眺める機会が無いのですが、最初の写真にも写っている通り庭園灯を3基設置しています。施主様が「昼間も良いけど、夜明り越しに庭を眺めるのもとても楽しみです。」とおっしゃっていただき、作り手としても大変ありがたく思っています。
 もうしばらくすると落葉樹が芽吹いてきます。またそのころに、お邪魔してみたいと考えています。

作業再開!2012/03/13 16:44

 雨の日続きだった天気も、ここ数日は回復して春らしい明るい日差しが戻ってきました。そこで、中断していましたKJ様邸の造園工事も再開。今日は樹木の植栽作業です。
 
 樹木と言っても松や槇の木を植えるのではなく、ヤマボウシ、枝垂れモミジ、ウメモドキ、アセビ等の雑木が中心です。それも株立ちのものや枝が曲がったものを使って、出来るだけ自然の雰囲気を出すのが、今の庭造りの主流となっています。
KJ様邸造園
 
 上の写真は敷石の脇にシャシャンボという、ツツジの仲間の常緑のブルーベリーといった雰囲気の樹木を植えている様子です。
 このような庭造りでいつも苦労するのが、自然樹形の常緑樹選びです。庭が広ければカシの木やアカマツなどこれまで用いてきたような樹種も植えられます。しかし、今の庭はそれ程広くないケースが殆んどで、周囲の落葉樹に合わせて雰囲気を壊さないものとなるとごく限られてきます。ソヨゴやハイノキ等を用いる事もあるのですが、これらの樹木はやや日陰になるような所でないと上手く育ちません。今回は知人の樹木医の方に勧められ、このシャシャンボという樹木を使ってみることにしました。
KJ様邸蹲踞周り

 上の写真は蹲踞周りです。水場を雰囲気を出すために敷き瓦を配置しても見ました。これから周囲には敷き砂利をして、ヤブコウジやセキショウ等の地被類を植える予定です。きっと、雰囲気もよくなると思います。

雨の日でも作業…2012/03/09 11:53

 前々回“和風の庭”というタイトルで紹介した庭造りの続編です。
 実はあの後も雨が降り続き、ただ指をくわえて待っているだけではらち空かないので、急ごしらえのテントを設置し、昨日から作業を開始しました。

 現場の担当者としても一度やりかかった現場を早く進めたかったのでしょう「社長、ビニールシートをテント代わりに作業をやります!」と言い出したので、どんなもんかと見に行ったところ、下の写真のようになっていました。
 
 完ぺきではないししろ、上から降ってくる雨水の侵入は防げているみたいです。


K.J様邸ビニールシート

 庭の真ん中程に正方形に敷石を配置し、今はツクバイを据えて、横の敷き瓦の配置を考えている最中です。
 ただ、配置は決まっても、土を掘って石を据えたり、瓦を置いた資する際に、濡れて重たくなった赤土と悪戦苦闘する日々がしばらく続きそうです。
K.J様邸雨天時の作業

 それから、「ビニールシートはいいアイデアね!」と言っていただきた施主のK.J様、玄関までの通路を塞いでしまってますね。申し訳ありません。

和風の庭2012/03/03 13:54

 今年の初め、今から3年ほど前に庭づくりをしたお宅から連絡を頂き、和室前の手つかずだった場所に和風の庭を作りたいとの相談を受けました。何度となく図面を持ってお邪魔し、打ち合わせを重ねた後、やっと本格的な施工の運びとなりました。
 
 広さは縦3.5m×横8m程度です。まず最初に植えてあったオリーブの木や下草を撤去し、下地となる赤土の客土を行いました。

K.J様邸着工前
   
 2tダンプ3台程の土を入れて、庭の下地はほぼできあがり。これから、垣根を作り、敷石や水場を作った後、樹木を植栽、最後に地被類を植えて完成です。 おそらく、10日ほどで作業は完了するものと考えていました。
赤土の客土

 しかし、このところの菜種梅雨と言っても良いほどの連日の雨、遅々として作業は進みません。客土後、玄関脇に御簾垣(竹垣)を設置したまま作業はストップ状態です。

施工現況

 下地が乾かないまま作業を行っても、かえって収拾がつかなくなるばかりなので、この状態で好天が続くのを待つことにします…。

暦の上では春なのに…2012/02/04 08:59

 昨日が節分で今日は立春です。確かに日も長くなって、日に日に日差しも力強さを増してきているような気はするのですが、年末から続く低温傾向はここにきてピークを迎えているようです。
 昨日の熊本市の最低気温は氷点下6.7℃、ラジオで聞いたのですが31年前に氷点下7℃以下を記録して以来の低い気温だったそうです。

 そのせいでしょうか、実家にある蹲にも氷が張っており、筧の水も氷柱となって氷ついていました。

筧に出来た氷柱


 神棚に上げる榊の葉を取りに行こうと思ったら、榊ごと氷ついていました。今朝もまだ同じ状態です。
 今年の冬の低温と豪雪で大変厳しい毎日を過ごされてる東北や北陸地方の方々とは比較にはなりませんが、九州でも慣れない寒さに戸惑っています。
  コブシや梅のつぼみもかなり膨らんできているので、春はもうそこまで来ているとは思います。
おそらく今月下旬には梅の花の写真をアップできるはずです。

バラの花壇2011/02/09 16:53

一昨日、昨日と2日間をかけて熊本市内某所S様邸にバラの花壇を作りに行きました。
このお宅、先代から受け継がれた和風庭園の横のスペースを利用して、奥様の趣味であるバラを12~13本地植えにされて楽しまれていました。
しかし、もともとの庭とバラを植えるスペースを明確に区別したいというお考えから、今回の花壇の設置となったわけです。
施工の内容はすでに植えてあったバラをいったん掘り上げ、仕切りを入れる部分に砕石とモルタルを敷いて、その上に枕木を据え付け、花壇内部の土づくりを行い、最後にバラを植え付けるというものです。
完成した花壇は下の写真のようになりました。

バラの花壇

花壇の大きさは4m×3m程度の広さです。この面積の土づくりの材料として馬糞堆肥10袋(20ℓ入)、ボラ土10袋(18ℓ入)、再生炭10袋(30ℓ入)、パーライト1袋(100ℓ入)を混ぜて管理機で念入りに耕しました。最初は改良材の量が少し多すぎたのではと思ったりもしましたが、元からの土と混ぜていくにつれ、色といい、硬さといいバラを植え付けるには理想的な土壌が出来上がったと思います。
施工に係った手間は社員3人でほぼ2日がかりでした。
作業後、施主様が「あの3人は本当の職人で、図面より綺麗に仕上げてくれたのでよかったです。」と言っていただいたのは非常に光栄なことでした。
因みに、図面を書いたのは実はこの私なのでした…。
後は、この庭にも春が来て、植え付けたバラの花がきれいに咲き誇ることを祈るばかりなのです。

園芸資材の展示会2011/02/03 16:54

先週の木曜日、マリンメッセ福岡で開催された園芸用資材の展示会に行ってきました。
ガーデニング用品からテラコッタ、農薬、花やバラ、樹木の苗木、花器、ラッピング用品に至るまで園芸に関するありとあらゆる今年注目の商品が展示されています。

出展者にとっては早期の受注を獲得する絶好のチャンスですし、バイヤーにとっても春のガーデニングシーズンに向けて魅力的な商品を発見するまたとない機会なのです。

実は私も10年以上も前から、出かけて行っては買い付けを行ったり、ガーデニングに関する新商品の情報収集を行っています。

ただ、この業界も不況の波は確実に押し寄せているようで、10年前に比べると出展者、バイヤーの数ともにかなり少なくなっています。

そんな中、今年の特徴は除草剤や殺虫剤等の農薬関係の出展が多くなっていることです。この傾向は、ここ数年来かなりはっきりと現れています。
下の写真はこの春発売される新しい殺虫剤です。

農薬

製造メーカーの人の話によると、アブラムシのほかコナジラミやハモグリバエ等の小さくてこれまで薬剤の効果が薄かった害虫にもよく利くそうです。
自分でも実際に自宅で試そうと思い、商品をもらってきました。

そのほかにもラウンドアップをはじめとした除草剤が何種類も出展されており、それらのコーナーはメーカーの方の力の入れようもかなり熱を帯びていたような気がします。

これら、殺虫剤や除草剤等の農薬に注目が集まるのは、背景として農家の人手不足があるのではないかと思います。
これまでは、手に鎌を持って除草をしていたけど、今となってはその手間がかけられなくなっている現状があります。これは農家だけの問題ではなく、私たち造園の世界でも同じことが言えます。道路の植栽帯の草を抜く経費がかけられないために、行政では除草剤の使用を容認というか、かなり積極的に行っているところがあります。

皆さんの中には、除草剤や殺虫剤と聞くだけで、何か危険なもの、人体に悪影響を及ぼすものと考える方も多いと思いますが、現在、使用されている農薬の殆どが毒性の低い“普通物”となっています。もちろん、使用回数や濃度、使用方法が明記されているのでこれをしっかりと守る必要はありますし、農薬だけですべてを解決するのではなく、時には草を抜いたりなどの人力の作業との組み合わせが重要だと考えます。

農家や緑化関係の仕事以外、おうちのガーデニングの中でも農薬を上手に使うことが、園芸を長く楽しむ秘訣ですし、緑や草花を上手に育てるポイントのような気がします。