巨樹の森 ― 2011/08/01 17:24
前々回、このブログで筑後川流域の巨木を紹介しましたが、今回はその続編です。この前紹介した隠れ家の森から筑後川をさらに上流に進み、途中から支流の大肥川を遡ること40分、陶芸の里、小石原に到着します。その町の中心から2キロほどのところに、黒々とした杉の巨木の森が現れえます。
樹齢200年~500年の杉の巨木が林立し、現在は375本が林野庁によって管理されています。言い伝えによると、鎌倉時代から修験霊場として栄えた英彦山へ入山する際に、修験者達が植栽したものだという事です。これらは行者杉と呼ばれ、大切に保護されています。
中でも、下の写真の霊験杉(行者杉の母と呼ばれる)は少し離れた場所から見ると、幹の上部が何本にも枝分かれしており、周りの樹木からは一際群を抜く大きさです。
樹齢200年~500年の杉の巨木が林立し、現在は375本が林野庁によって管理されています。言い伝えによると、鎌倉時代から修験霊場として栄えた英彦山へ入山する際に、修験者達が植栽したものだという事です。これらは行者杉と呼ばれ、大切に保護されています。
中でも、下の写真の霊験杉(行者杉の母と呼ばれる)は少し離れた場所から見ると、幹の上部が何本にも枝分かれしており、周りの樹木からは一際群を抜く大きさです。
さらに、下の写真は行者杉の中で最大の大きさを誇る大王杉(行者杉の父と呼ばれる)です。幹周8.7m樹高53mはその傍に立つと、かなりの威圧感を感じることができ、大王という名にふさわしい杉の巨木です。
全国でも樹高が50mを超える杉は稀であり、大王杉がいかに巨大な杉であるかが分かります。
ここには他にも、筑前の国と豊前の国との境界にあることから、その名がつけられた境目杉(国見太郎と呼ばれる)や鬼杉など、樹高が40m以上あるような巨木が多くあります。
この森のなかにいると、何だか日常生活のスケール感がおかしくなりそうな錯覚を覚えます。
次回、11月の現地講座では、前に紹介した隠れ家の森、高塚地蔵尊の大イチョウ、それに5月に紹介した日田の叢雲の松、とこの行者杉を見学地として予定しております。
丸1日がかりの日程となりますが、お時間の許す方は是非ご参加されてください。きっと自然の豊かさや、生命力の逞しさに、感動されること間違いなしです。
詳しい日程等が決まりましたら、このブログでも必ず紹介いたします。
樹木の土壌改良 ― 2011/08/17 17:53
先日、個人のお客様からお電話を頂き、「うちのモクセイの様子がおかしいので、一度診に来てもらいたい。」「根元にキノコも生えているようだ。」との依頼があったので、早速、出向いてきました。
お客様によると、以前はもっと葉が茂り、枝下からは空が見えない状態だったという事だったのですが、現在ではご覧のとおりです。極端に衰弱している訳ではないのですが、枝葉越しに空も見えますし、枯枝も少し目立つ状態となっていました。
お客様によると、以前はもっと葉が茂り、枝下からは空が見えない状態だったという事だったのですが、現在ではご覧のとおりです。極端に衰弱している訳ではないのですが、枝葉越しに空も見えますし、枯枝も少し目立つ状態となっていました。
問題の根元付近に目を向けてみると、言われていたように卵の黄身のような色をした、革質のキノコが立派に生えていました。
このキノコ、名前は『ベッコウタケ』といい、サクラやケヤキ、ニセアカシア等の広葉樹の根元によくみられます。最初は上の写真のような卵色の握りこぶしのような形状をしているのですが、成長していくとサルノコシカケのような形となります。そして、冬場になると、少し萎んだ様な茶褐色の目立たないものになっていくわけですが、何もそれで終わりではありません。翌年はさらに大きな握りこぶしの集合体からサルノコシカケ状へと拡大を続けます。
実はこのキノコ、樹木の根っこの生きている部分を腐らせる力が非常に強い種類で、枯死や倒木の可能性が非常に高いキノコです。近年、街路樹等の倒木事故の主な原因になっている、樹木にとっては恐ろしい存在なのです。
私は見た瞬間に「自分はキンモクセイを生かしたまま、キノコのみをなくすことはできないので、治療の効果はあまり期待できません。」とお客様に申し上げました。すると、「このまま手をこまねいて見ているだけでは忍びないので、何か処置を頼みます。」とおっしゃるので、周辺のまだ生きている根に活力を与える方法をと考え、今回、土壌改良をやらせていただく事になりました。
方法は樹木の周りで、幹から1m以上離れた細根の残って居そうな場所を、径20㎝、深さ70㎝の大きさで15か所ほど掘ります。そして、その中に筒状の土壌改良材を詰め込んだ“活力管”を敷設し、管の周囲をピートモスと再生炭を混ぜた土で埋戻し、活力剤入りの水で灌水するというものです。
このような衰弱傾向にある樹木で、一度に根の周囲を掘り起し土壌改良をやると、かえって逆効果となり、さらなる衰弱を招く結果となりかねません。そこで、このような、所謂スポット的な改良方法を採りました。
他のお客様の庭での話ですが、イチョウの木が同じようにベッコウタケに侵されており、5年ほど前から上記の処置を採っています。イチョウの状態は一進一退はあるものの、ほぼ現状維持で推移しています。ただ、年々、ベッコウタケの範囲は確実に拡大しているようです。
もちろん、今回のお客様にも、繰り返し「回復の見込みはありません。」と伝えてあります。
ただ、少しでも衰弱の速度が弱まってくれるならとの願いから、私に依頼されたのだろうと思います。このキンモクセイもイチョウ同様、一進一退を繰り返すかもしれないけど、少しでも長生きしてくれることを祈るばかりです。
危険な街路樹 ― 2011/08/20 14:45
先日、熊本駅前に新しく植栽した樹木の様子を見に行った帰り道、駐車場へ向かう道すがら、横の通りの街路樹の根元にとても気がかりなものを発見してしまいまいた。
ケヤキが街路樹として道の両側に植栽されてるのですが、駐車場の入口にある1本にキノコらしきものを見つけてしまったのです。
ケヤキが街路樹として道の両側に植栽されてるのですが、駐車場の入口にある1本にキノコらしきものを見つけてしまったのです。
根元に生えたキノコの様子をよく見ると、若干色は薄いものの、前回紹介したキンモクセイに着いていたものと酷似した特徴があります。
しかも、最初に気が付いた車道側だけではなく、歩道側にも握りこぶし状のキノコが確認できました。
色、形状等の特徴からベッコウタケと思われます。
しかも、最初に気が付いた車道側だけではなく、歩道側にも握りこぶし状のキノコが確認できました。
色、形状等の特徴からベッコウタケと思われます。
前回も言いましたが、このキノコは樹木の根系、しかもまだ生きている組織を腐らせる力が非常に強い性質を持っています。
現在、街路樹の倒木の大きな原因の一つとして、私たちも注意を払っている、所謂、要注意なキノコなのです。
一番上の写真では枝葉も茂り、衰弱傾向を認識しづらいのですが、樹木の地下では確実に腐朽が進行しているハズです。
樹冠(枝葉の部分)が茂り、根が腐って貧弱なものになっているからこそ、バランスが崩れ、少しの雨風でも簡単に倒木してしますのです。その結果、下を通る車や歩行者を巻き込む人身事故にも繋がりかねません。
現に、熊本でも平成19年7月にケヤキの倒木により、通行中のワゴン車の前部が破損し、同乗者の方が怪我を負われています。この事故は、後に裁判となり、事故からほぼ2年後に、原告(被害者)の主張がほぼみとめられ、被告(道路管理者である県)の敗訴という形で決着をしています。
様子のおかしい樹木が1本見つかると、その街路に植えてある樹木全部が気になり始めました。そこで、この通りを一通り歩いて、樹木の様子をざっとですが見てみました。
通りの反対側の1本です。枝がぶつ切りに剪定された後に葉を伸ばしてきた様子があります。
幹の部分には下の写真のようなキノコ(コフキタケ)が発生していました。
このキノコはベッコウタケほどには生きた細胞を腐らせる力は強くはありません。どちらかと言えば、幹の中心部分の死んだ細胞の集まりである心材を分解していく性質を持っています。しかし、根の部分も腐らせる力があり、腐った部分から倒木や幹折れを起こす可能性も十分に考えられます。
この通り全体には十数本のケヤキが植えられていたのですが、実際にキノコが見られたのはここで紹介した2本のみでした。
しかし、上の写真のように幹の成長によって鋼製の支柱を巻き込むような状態になっているもの、根の周りに設置された鋳物で出来た根元の保護盤に幹が食い込んでしまったもの、幹の一部に亀裂や異常な凹みが確認できるもの等、内部の腐朽を示す何らかのサインを示しているものが多く見受けられました。
この調査は写真を添えて、この街路を管理されている担当部署に提出し、放置することの危険性を説明してきました。私としては、早急に、全てに対して適切な診断を行い、植え替えるのか何らかの処置をとっていただきたいとお願いをしました。
これを受けて、事故に至らぬよう早めの対応をとっていただければ良いのですが…。
NHK文化センター秋の講座 ― 2011/08/27 15:25
昨日、NHK文化センターから秋の講座の日程と案内文の内容を決めてください!という内容のお電話を頂き、慌てて考えました。もちろん、講座の事を忘れていたのではなく他の仕事との日程調整に手間取ってしまい、自分の中で、ついつい延び延びになっていたのです。
それから、次の日に新聞の折り込みに入れる原稿が送られてきて内容を確認させていただいたのでした。自分がぐずぐずしてたので、文化センターの方にご迷惑をかけていたのかもしれません。(トホホ…)
内容な下の案内のとおりです。今回は筑後川を久留米から民陶の里、小石原さらには大分県日田市までさかのぼり、巨樹・古木を訪ねるコースです。
それから、次の日に新聞の折り込みに入れる原稿が送られてきて内容を確認させていただいたのでした。自分がぐずぐずしてたので、文化センターの方にご迷惑をかけていたのかもしれません。(トホホ…)
内容な下の案内のとおりです。今回は筑後川を久留米から民陶の里、小石原さらには大分県日田市までさかのぼり、巨樹・古木を訪ねるコースです。
コースの見どころは全てと言っても良いのですが、しいて挙げれば。小石原にある行者杉(杉の巨木群)、隠れ家の森(クスの巨木(福岡県第2位))、高塚地蔵尊の大銀杏でしょうか?
高塚地蔵尊は願掛け地蔵として九州では有名な場所で、九州各地のみならず、中国地方などからも様々な願い事を携えた参拝客でにぎわいます。私も当日は、大切な願い事をしてこようと考えています。
今回は、上の現地講座だけではなく、同じ文化センターで座学による巨樹・古木の講座もやることになりました。受講生の皆様にはパソコンによる画像とかを出来るだけ多く使い、退屈しないような無いようにしていきたいと考えています。ただ、詳しい内容はこれから決めなくてはなりません。
座学の講座案内には1日講座とありますが、何も1日中話をする訳ではありません。何回かのシリーズではなくて1日限りの講座という意味です。
90分間、樹木の事を肝心の実物が無い状態で話をするので、準備がそれなりに大変そうです。とにかく頑張しかなさそうですので、興味のあられる方は是非ご参加ください。
講座案内のパンフレットは9月5日(月曜)の熊本日日新聞への折込等で配布される予定です。
今さらながら思うのですが、両講座とも同じ写真が使ってあります。どちらか一方でも、写真に修整を加えロン毛にするとか、美白するとか、小細工をしておけばよかった!
桜の枝折れ ― 2011/08/30 17:34
今日のお昼過ぎ、当社が管理をさせていただいている、ある施設の経理担当の方から、お電話がありました。内容は、裏庭の道路に面した桜の枝が折れて道を塞いでいるので撤去しもらいたいとの事。あいにく、うちの社員はみな現場に出ており、頼りになる男手は私しかいなかったので、それまでのパソコン作業を中断し、急遽出動の運びとなりました。(汗)
下が、現況の写真です。確か、春一番に濃いピンクの花を咲かせる河津桜の下枝が、途中でへの字に折れており、道を塞いでいました。
下が、現況の写真です。確か、春一番に濃いピンクの花を咲かせる河津桜の下枝が、途中でへの字に折れており、道を塞いでいました。
折れた部分をよく見てみると、白い腐朽j菌の菌糸のようなものが見えます。内部もかなり空洞が広がっているというか、組織の劣化が目立ちます。
電話での話では、車がぶつかって枝折れを起こしたのかもしれないと考えていましたが、どうやら、そうでもなさそうです。車がぶつかった時に出来るような傷はどこにも見当たりませんでした。恐らく、大きく成長した枝葉の重みを、この腐朽した部分が支えきれなかったのでしょう。少しの雨風で自然に折れたのだと考えられます。
菌糸は白く腐朽部分を覆う形で成長しており、腐朽力の強いナラタケモドキの菌糸にもどこか似ていますが、付近に子実体(キノコ)は見当たらず、定かではありません。今後、秋の到来とともに、キノコが発生する可能性もあるので、注意深く観察しようと思います。
肝心の、この日の作業は、枝折れした箇所の幹寄りのところを鋸で切断して、切断面には防腐・殺菌効果のあるペースト状の薬を塗布しておきました。あいにくトラックで来てないので、残材の処理は後日です。
久しぶりに鋸なんか使ったものですから、おかげで汗びっしょり!
連絡してくれた経理担当の方も、私のあまりの汗のかき様に、少々引き気味の笑いを浮かべられてました…。