水辺の植物2013/09/10 16:48

今回もまた前回の続きというか、同じ公園内の話題です。
熊本市内に住んでらっしゃる方はよくご存知かと思いますが、江津湖公園は名前が示す通り周囲6km程のひょうたん型をした湖に面した公園です。なので、多くの水生植物や野鳥の宝庫といってもいいほど、数多くの種が生息しています。

夏の初めは園路脇に鮮やかな黄色〜山吹色のヘメロカリスが咲いていたのですが、あっという間にこの花の季節も終わってしまいました。そのせいか公園の風景も、色彩が緑一色になったような気がします。そんなことを思いながら、水路脇のデッキを歩いていると薄紫の鮮やかな花を見つけました。


ポンテデリア


ポンテデリアという変わった名前の植物です。江津湖でもよく見かけるホテイアオイの 仲間で、ミズアオイ科の植物です。花の盛りはとうに過ぎたみたいで、散った後の茶色い穂だけが目立つ状態でしたが、園路に沿って1つだけ満開になった花穂を見つけました。健気に咲いています。
そういえば花色の微妙な色合いがホテイアオイそっくりで、親戚というのもうなずけます。

さらに周囲を眺めていると、流れの中にひっそりと咲いている真っ青の鮮やかな花が目に入ってきました。

水葱


こちらが本家本元 というか、科の総称にも使われているミズアオイの花です。昔はこの公園でも至る所に見られたという話ですが、今では限られた場所にしか生育していないそうです。背の高いヨシや外来種のウオータレタスに生息地を奪われているということなのでしょうか、それにしても青がホントに綺麗です。
あの万葉集の中にも水葱「ナギ」(ミズアオイの別名)として求愛の歌に詠われて、人々に親しまれているとのことです。

そういえば、公園内にも夏目漱石や中村汀女など文学者の句碑や歌碑が残されていますが、その中にこのミズアオイ「水葱」が読まれた句碑があります。

句碑


“流れゆく 水葱に照り添ひ 江津の月” 作者は熊本県出身の有働木母寺という俳人だそうです。
なんだか、静かで澄み切ったような情景が目に浮かんで来るような情景だと感じました。

多くの文学者が歌や俳句のモチーフを求めたほど、昔から江津湖周辺の自然は素晴らしかったのでしょう。