台風の爪痕2015/09/02 09:30

 Facebookでも触れましたが、先週、九州地方に上陸した台風15号は熊本の街にも大きな爪痕を残しました。皆様の中で被災された方には心よりお見舞い申し上げます。
 
 そんな台風が通過して間もなく吹き返しの風も弱まった頃合いを見計らって、樹木の様子を実際に見に行ってみました。商売柄、街の樹木がどうなっているかが気になってしょうがありませんでした…。
 
 下の写真は熊本市内の産業道路沿いに植えられているケヤキです。根元から倒れ、沿道のビルに寄りかかっているのがわかあります。この沿線では他にも多くのケヤキの木が倒れていました。

ケヤキの倒木

 上の写真の場所から少し離れた住宅街では、マンションに植栽されて間もないと見られるシマトネリコが根元から歩道へと倒れていました。元々成長が早い樹木で、枝葉が茂りすぎていたにもかかわらず、狭い植栽スペースの中では十分に根が張れなかったと思われます。

シマトネリコ倒木

 下の写真は、当社が管理しているキリスト教団体の施設の庭です。サクラの木が根元付近より倒壊しています。折れた部分をよく見るとシロアリが食害したあとが見受けられますし、幹内部にもキノコが生えていました。激しい腐朽の為に、この部分が弱くなっていたと考えられます。

サクラ倒壊

 隣地との境界に植えられていたタイサンボクはフェンスを壊して根元付近より倒れています。葉が非常に肉厚で、枝葉が重いこの樹木にとっては他の樹木のように枝をしならせて風をかわす事が出来なかったのでしょう?風速40メートルを超える強風は過酷すぎたようです。

タイサンボク倒木

 
 最後の写真は施設のシンボルともいえる前庭のユーカリの木です。無惨にも途中から枝が折れています。成長が早いこの樹木は1年間で1メートル以上も枝を伸ばします。昨年が丁度、施設の改修工事の準備期間で剪定作業が出来ず、まる2年間枝を伸ばし放題にしておいた事が今回の被害を大きくしたと考えられます。元々オーストラリアの乾燥帯原産の樹木なので、強風には弱いという特徴もあるみたいです。

 十字架に磔になっているキリストに鞭を打つような格好になっている様子は少々無惨にも思えます。この木は以前この施設におられた方々にとって非常に意味のある樹木だそうで、ここに努められているシスターと相談の上、折れた所のみを切除して、今後も保存していくという事になりました。早速、写真を撮影した翌日から作業を行い、今では三分の一程の高さになってしまいましたが、きっと2〜3年経てば見違えるようになっている事でしょう。


ユーカリ枝折れ
 
 この他、当社が管理している国道や個人庭園でも多くの倒木や枝折れがありました。幸い、人的な被害は無かったのですが、もし、下を人や車が通っていたらとゾッとするような場所もあります。

 このような台風被害を踏まえて、今後、街路樹や公園樹など公共の樹木では普段から診断を行い、倒れる危険があるものに関しては、事前に対策を講じるという考えが必要だと痛感させられました。個人庭園や大きな施設に植えられている樹木についても、普段から剪定や消毒など手入れを行う事の重要性を改めて認識させられました。

 昨日、当社も行政からの依頼を受けて国道の街路樹の診断を行う事になりました。実際の調査は来週からなのですが、倒木に繋がるような傷や空洞、キノコの発生等が無いかどうかなど、しっかりとした診断をしてこようと思っています。街路樹は決して危険なものではなく、安全で安心感のあるものだと、それが本来持っている優れた点をちゃんと理解してもらう事が調査の目的です。



三池炭鉱万田坑2015/05/08 10:37

 ここで紹介している樹木の話題とは関係ないのですが、先日5月5日の子供の日に帰省中だった娘をつれて万田坑見学に出掛けたことについてお話をしたいと思います。
 この日は坑内が無料で解放される日だと前もって知っていたので、見学に行く予定にしていたのですが、前日の夜のニュース速報を見てビックリ!世界遺産への登録が勧告されたとの事で、初めて行く万田坑への期待感も高まります。
 万田坑のある熊本県荒尾市までは熊本市内より車で1時間程でしょうか。目的地に近づくにつれて車が増え、道案内をする誘導員が出ています。さすが、「世界遺産先取りをと考える人はいるのだな。」と思っていたら、それはお隣にある遊園地への車の誘導のための人たちでした。しかし、専用の駐車場はほぼ満車状態、とにかく車を停めて、まずは資料が展示してある万田坑ステーションに足を運びました。ここでは万田坑の歴史を学ぶビデオの上映の他、当時の鉱山全体を復元した模型や写真の展示がされており、この鉱山のスケールの大きさや三池炭鉱が日本の近代化に果たした役割の大きさを実感できました。

 ステーションを出た後、いよいよお目当ての万田坑へと向かいました。ここではボランティアガイドの方の説明を聞きながら、最初に、シンボルとなっている第二竪坑巻揚機室内や第二竪坑櫓を見学します。

第二巻揚機室及び竪坑櫓

 県の観光パンフレットでこの姿は見ていたのですが、近づいてみると思っていたよりずっと大きく、重厚感があります。
 下の写真はこの第二竪坑の坑口です。ここから炭鉱内にエレベーターで炭坑労働者の人たちを降ろしたり構内に流れ込んだ水を排水していたそうです。ボランティアの方が言ってたのですが250m以上も深い場所にある鉱脈まで垂直に降りていったのだそうです。

第二竪坑坑口

 巻揚機室内はヘルメット着用です。大きな巻揚機は多くの人たちの命綱として、日夜上げ下げを繰り返していたのでしょう。説明のボランティアの方の話にも熱がこもっていたように感じます。

巻揚機室内

 巻揚機室内を出た後、浴室や脱衣所を見学して石炭を選り分けていた選炭場跡と呼ばれる広々とした場所に出てきました。昔は石炭を品質によって選り分け、貨車に積み込んで三池港まで運んでいたそうです。
 下の写真は選炭場跡の脇にあった水路沿いに第二竪坑櫓と巻揚機室を撮影したものです。

第二竪坑櫓及び巻揚機室

 最盛期には万田坑だけで3500人程の人達が炭坑労働者として働いていたそうです。荒尾・大牟田地区に点在した三池炭鉱全体ではどれだけの人たちが働いていて、街もどれだけの賑わいを見せていたのでしょうか?この施設は石炭採掘が終了した後も、他の炭坑へ水が流れ込むのを防ぐため排水施設として平成9年の三池炭鉱閉山まで現役で活躍し続けたという事でした。そのために施設が取り壊される事なく、今にその姿を止めているとの事。
 

第二竪坑と貨車

 坑内には錆びた線路や貨車、重機などがそのまま残っています。錆びてはいるものの、その重厚な存在感は、かつて多くの人々が額に汗して働いていた当時の様子を想像させるには十分の説得力があります。

メーター類

   7月の審査を経て、正式に世界遺産として登録されるとのことですが、私も是非もう一度訪ねてみたいと思います。想像していたより見どころ満載で、ボランティアガイドをしていただいた30分ではとても足りないくらいでした。なので、私たち家族はガイドが終了した後も建物の周りをうろうろして色んな角度から、櫓や巻揚室を眺め、1時間以上は坑内にいたでしょうか?とても充実した時間でした。




センダンの花2015/05/01 11:16

 昨日、お昼休みに会社の近所の川沿いを散歩していたら、花を咲かせたセンダンの木を見つけました。わざわざ人の手で植える事はあまりない木なのですが、熊本ではこのように川沿いの土手などで実生のものが普通に見られます。きっと九州の温暖な気候が適しているのでしょう?

センダン

 花は新しく伸びた枝の根元の部分につき、小さい花が集まって咲くので比較的目立ちません。しかし、満開の頃になると枝が薄紫に覆われ、涼やかな雰囲気を与えてくれます。
 もしや良い香りがするのかと思い、鼻を近づけてみたのですが殆ど匂いらしい匂いはしませんでした。
それもそのはず、ことわざにある「センダンは双葉より芳し」のセンダンとはインドなどでよく見られる白檀(ビャクダン)の事だそうです。昔は白檀をセンダンと言っていたらしいです。どうしてこのような混同が起こったのかは不明でした。

センダン花

 センダンの木をよく見てみると、どこにでもあるような平凡な大きさと、その姿ですし、人を引きつけるような良い香りもありません。そんな、人並みはずれたところがなく平凡な木だからこそ、街の中でも逞しく生き続けていられるのかもしれませんね。

この木何の木?2015/04/28 11:18

 この前の日曜日、私用で福岡市天神に出かけてきました。晴天にも恵まれ気持ちのよい一日でした。
そんな中、街中の公園を歩いていると緑が眩しいというより、日の光に白く輝く樹木を見かけました。

ヒトツバタゴ1

 ヒトツバタゴという名前の樹木です。タゴとはそもそもトネリコの別名の事、通常トネリコが7枚程の小葉が鳥の羽状に集まって1枚の葉を形成するのに対し、このヒトツバタゴの場合は、1枚1枚が独立した葉となっている事からこの名前がつきました。また別名をナンジャモンジャの木とも呼ばれています。名前の由来は明治時代に東京青山練兵場(今の神宮外苑)の道路沿いにこの木があり、名前が分からなかった事から「何の木じゃ?」とか呼ばれているうちにいつの間にか「ナンジャモンジャ」という変わった名前になったと言われています。

ナンジャモンジャ花

 名前の由来はともかく、白い糸を何本も束ねたような花を沢山つけるので、この季節涼しげな印象を与え、最近では公園や神社でもよく植えられています。
 NHKカルチャーで昨年の秋に訪ねた福岡県芦屋町の岡湊神社にも沢山植えられていました。丁度、ゴールデンウィーク当たりに見頃を迎えますので、興味のあられる方はドライブがてら見に行かれてはいかがでしょうか?宮司さんの話によると夜はライトアップもしているそうですよ。京都のお寺みたいですね!
 


明けましておめでとうございます2015/01/05 16:24

 年末年始は寒さが厳しかったですが、皆様におかれましては、きっと良い新年をお迎えの事と思います。
 私は家族、それから親戚と一緒に京都で新年を迎えました。折から、京都は数十年ぶりと言われる程の大雪、しかし、そのお陰で、いつもではお目にかかれない素晴らしい風景に出会え、心に残る年の初めとなりました。

 元日のお昼過ぎから降り出した雪は徐々に強まり、夜になる頃にはホテルの前も一面の銀世界。街路樹のケヤキの枝に積もった雪が街灯に照らされ、白く浮かび上がっています。

雪の御池通り

 翌朝、朝食会場のホテルのレストランから見た景色です。手前に見えるのが鴨川と二条橋、遠く東山の裾野付近が銀閣寺と言ったところでしょうか?

雪の鴨川

 そして、雪の京都と言ったらやはりこの場所。金閣寺に来てしまいました。この風景にお目にかかるまで、入場を待つ人の列に並び1時間程。しかし、門をくぐってその姿が見えた時には、大変月並みな表現なのですが、その美しさに思わずため息が漏れてしまいます。
 実際に写真には撮れなかったのですが、時折差し込む日差しに輝く姿は何とも表現できないような美しさがありました。

雪の金閣寺
  
 年の初めにいささかミーハーではありますが、素晴らしい風景に出会えて、個人的には良いスタートが切れた気がします。これからは、もっと身近な熊本、それから九州の緑の風景を多く伝えていければと思っています。今年も数多くの話題を提供したいと考えていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

遠賀川のイチョウ2014/10/28 15:55

 この前の日曜日、NHKカルチャー11月の現地講座の下見に遠賀川の畔にまで行ってきました。最初のお目当ては、水巻町にある八劔神社(やつるぎじんじゃ)の大イチョウです。

 川沿いの堤防上の道を車で走っていると、道を挟むように対になったイチョウの巨木が見えてきます。これはお目当ての大イチョウではないのですが、2本がまるで門みたいに迎えてくれます。よく見ると、鮮やかな黄色に色づく前に、早くも枝の先端部分からの落葉が始まっています。夏の天候不順や、相次いで襲来した台風の影響なのでしょうか?講座当日が少し心配でもあります。


遠賀川のイチョウ

 そして、下の写真がこの堤防のすぐ脇にある八剱神社の大イチョウです。こちらの方は、あと2週間程で丁度見頃を迎えるかもしれません。

八剱神社大イチョウ

 案内板によると、日本武尊が御手植えされたものだとか…。真偽の程はともかくとして、高さ20m以上、幹周りは10m近くもある巨木です。何本も枝分かれしており境内から見上げると上から覆い被さってくるような迫力があります。

 この後、遠賀川河口の街芦屋の大ソテツを見て、宮若市の古刹を訪ね、最後に宇美八幡宮鵜のクスノキの巨木を巡ってきました。

遠賀川コスモス

 今回の下見で初めて遠賀川沿いを訪れました。これまでは何となく「川筋気質」というイメージが頭の中にあって、筑豊の人たちの生活を支えてきた川であり、風景もどこか男性的なものを連想していました。しかし、実際に来てみると、広々とした川幅でゆっくりと流れている様子は、とっても開放感のある場所でした。

 丁度この日は、河川敷に植えられたコスモスも満開で、多くの見物客で河川敷は賑わっており、とっても華やいだ女性的な雰囲気さえする場所となっていました。

 


第3回江津湖みなも祭り2014/10/21 15:01

第3回江津湖みなも祭りの様子を(土曜日開催の分だけですが)動画にまとめました。

当社社長もどこかに出てきております!お時間おありの方はどうか探してみて下さい(笑。

中止になったイベント2014/10/10 13:17

 Facebookでもご紹介しました江津湖公園恒例の「江津湖みなも祭り」は台風19号の接近により、11日土曜の前夜祭のみの開催となってしまいました。
 当社では緑の匠場という、昔から受け継がれた造園の技術を紹介するコーナーを担当していたのですが、このイベントもすべて中止になってしまいました。そこで、祭り前日に行ったリハーサルの写真を見ていただきたいと思います。

職人竹梯子

 上の写真は20段の竹梯子です。職人さんが足を載せているところまでで約8メートルの高さがあります。目線の位置は9.5メートルほどでしょうか。隣のマキノキは高さ7m程もある立派な木なのですが、梯子と比較すると低く見えてしまいます。本来ならば両手放しでポーズを決めてもらうところですが、この日は接近中の台風の影響で風が強く、両手を竹に添えてのポーズとなってしまいました。
 今では脚立や高所作業車などが主流となっており、消防の出初式等でお目にかかったり、ごく一部の庭師さんが使う程度ですが、当社では未だにこのような竹梯子が健在です。

 竹は中が中空になっており重量が非常に軽くできること、また、竹が持っている弾力性により、梯子の上でバランスを崩しかけても復元してくれる力が働くなど優れた点を多く持っています。

 祭りでは過去2年間この竹梯子のパフォーマンスをやっています。意外と子供たちに人気の催しでもあるのです。職人技を皆さんに御覧頂いた後に、子供たちに実際に梯子のりを体験してもらうのですが、怖いもの知らずの子たちが多く、列を作って待っていてくれます。今年のお祭りは中止になってしまい、元気な子供たちの姿が見れなかったのが非常に残念です。

公園スタッフ竹梯子

 子供ではないのですが、公園スタッフのS氏に試しに登ってもらいました。最初は威勢がよかったのですが12〜13段目で急に大人しくなり、この有り様です。(笑)
無理もありません、これでも目線の高さでは7m近く有りますし、下で見ているよりも竹がしなって恐怖感があります。

 私としましては「江津湖みなも祭り」を通して造園が培ってきた職人技や伝統の技術などを紹介していければと思っています。



柳川・大川の風景2014/08/18 10:19

 お盆休みに帰省中の娘を連れて、柳川市方面にドライブに出かけてきました。熊本市内から2時間程度で柳川の中心地である沖端地区に到着です。この日はあいにくの小雨模様だったにもかかわらず、名物のドンコ船で川下りを楽しんでいる人たちの姿も見られました。お堀端の枝垂柳や榎が川面に映って如何にも水郷柳川という風景です。水辺の風景は人の気持を落ち着かせてくれる気がします。

柳川川下り

 最初に出かけたのは柳川が生んだ偉大な詩人“北原白秋”の生家です。現在は北原白秋記念館という名前の資料館として一般公開されています。元々、海産物問屋や造り酒屋を営んでいたというだけあって、白壁の2階建てでかなり立派な建物です。
 生家を入ってすぐの左側の居間の奥には坪庭が有りました。幼いころの白秋もこの庭の見える部屋で遊んでいたのでしょうか?

 庭をよく見てみると鹿威しが設けられています。そう言えば、京都の詩仙堂というお寺にも有名なものがありました。竹が石を打つ“カーン”という響きは、単に風流というものだけではなく、詩を作るなどという創造的な思考には重要な要素なのかもしれません。


白秋生家

 資料館では白秋の生い立ちからその生涯を描いたビデオが上映されていました。一時期、詩人としてかなり恵まれない貧乏な日々を過ごしたと紹介されていました。しかし、その作品に貧しさや苦しさみたいなものが全く感じられないのは、裕福な家に生まれたという事もさることながら、柳川の豊かな水やそれが育んだ生命の逞しさが影響しているのかもしれないと思いました。

 次に、隣町の大川へ向かいました。ここは言わずと知れた家具の街です。その街の中心に“風浪宮”(ふうろうぐう)という立派な神社があります。勝運の道を開いたとされる少童命(わだつみのみこと)を祀っており、1800年の歴史がある由緒正しい神社だとか。

風浪宮

 神門の前には池があり、そのほとりに植えられている松の緑が朱塗りの建物に映えてとても鮮やかです。

風浪宮のご神木

 門を潜って本殿右側にはご神木のクスノキがあります。説明文によれば、少童命の化身とされる白鷺が止まったと伝えられており、樹齢2000年だとか?幹周りは8mで福岡県の天然記念物にも指定されています。樹高の割にはどっしりとした印象を受ける樹木です。Facebookで紹介した宇美八幡のクスノキを少し小さめにした雰囲気です。
 大川の街と言えば家具のお店や木材の加工場が多く立ち並び、柳川の柳のような緑の印象はあまりなかったのですが、この神社周辺は松やクスの緑に溢れていて、瑞々しさを感じられる場所です。この地も柳川とともに筑後川流域の肥沃な土壌が、自然を育んできた場所に違いないのです。

芭蕉の間引き2014/04/30 14:13

 先週の土曜日に江津湖公園のボランティアに行ってきました。今回の活動内容はタイトルにもあるように芭蕉の間引きです。公園内の出水地区(県立図書館横)には湧水が幾筋も流れており、そこに芭蕉が茂った様子はどこか南方の異国の雰囲気があります。この芭蕉の林内には高浜虚子の『縦横に 水の流れや 芭蕉林』という句碑があり、古くからその風景が多くの人たちに愛されていたという事がわかります。

 しかし、芭蕉は多年草であり、放置していれば次から次へと新しい芽を出して周囲に暗がりが出来て、公園の中では防犯上問題があるという事になってきました。そこで、数年前から公園管理を担当している熊本市の造園建設業協会では年に1度間引き作業をボランティアとして行っています。

 伐採作業は茎の直径が20〜30㌢ほどに成長した芭蕉をノコギリや鎌を使って根元から切り倒します。更に、切り倒した茎を長さ1.5㍍ほどに切り揃え、人力でごみ収集用の車まで運んで行くという作業です。

間引き作業1

 全てが人力での作業ですので、多くの人出が必要です。この日も造園協会会員の若手を中心に50名ほどが参加してくれました。

間引き作業2
 
 下の写真の奥に小さく見えるのが積み込み用の車両です。2トン程積めるのですが、この日は10台近く稼働させて積み込みました。

間引き作業3

 下の写真は作業完了後に撮影したものです。芭蕉林内もすっかり明るくなって、見通しが確保できるようになりました。

間引き後1

 かつては鬱蒼とした暗がりで、水の流れも黒く淀んだように見えていた場所もご覧のとおり、透き通って綺麗に見えます。

間引き後2

 この日の作業は2時間半ほど、午前中で無事終了したのですが、最後になってゴミを搬出しようとした収集車両がぬかるみに嵌り込んで出られなくなりました。近所の建設機械レンタル会社からショベルカーを借りてきてやっと脱出できたのが午後2時を過ぎていたそうです。お世話をされていた協会スタッフの方数名はずっと現場でお手伝いをされていたとのこと、大変ご苦労さまでした。

 このボランティアはかなり重労働でノコギリや鎌を使うということもあり、造園協会会員のみの参加となります。しかし、前回紹介したウォーターレタスの駆除など一般の方々も気軽に楽しく参加できるプログラムもありますので、皆様の中で是非我もと思われる方は(一社)熊本市造園建設業協会までお気軽にお問い合わせください。近年、私も江津湖関連のボランティアに参加させて頂いているのですが、かけがえのない江津湖の自然を守るには、一般市民の方々のご協力なくしては実現不可能だと、つくづく感じています。