移植後5カ月あまり…。2009/11/04 16:44

移植直後の6月初めと、1月後の7月にこのブログで紹介したクスノキの現在の様子です。

あの、暑さきびしく、後半にはほとんど雨らしい雨に恵まれなかった夏を耐え抜いて、やっと樹勢も安定してきたようです。8月後半から10月初旬にかけて月に3~4回のペースで灌水を行った甲斐がありました。

今後は自然の降雨に任せて、来春、4月中旬に新芽が出てくるのを待つばかりです。来春以降は新しい根も伸び始めて、葉っぱの展開もより一層と勢いを増すに違いありません。
今後も定期的に観測を行っていきたいと考えています。

いよいよモミジも見頃!2009/11/16 15:21

イチョウも色づき、ケヤキも赤茶色に秋化粧し、そして、いよいよイロハモミジも色づき始めてきました。モミジの紅葉は非常に鮮やかで、黄色から赤まで美しいグラデーションは本当に見事です。

写真はあさぎり町にある麓城址のイロハモミジの紅葉です。付近には日本七薬師にも数えられる谷水薬師があります。この薬師の駐車場に車を停めて徒歩で15分ほど山を登った先にこの場所はあります。

途中の山道はクスノキが優勢な森となっており、少し薄暗い感じがする中を進みます。すると小さな尾根の一部に突然、明るい場所があり、そこがこのモミジの林となっています。

おそらく、もともとはクスノキやタブの木、アラカシなどの照葉樹林であった場所の一部、日当たりのよい個所を伐採してモミジを植林したのだと考えられます。日当たりのよい斜面や沢沿いで育つモミジが、照葉樹林の下のしかも尾根沿いの場所で生えてくるとは考えられません。

薬師堂の裏山に京都の高雄山のような風景を思い描いて何方かが植林されたのでしょうか?
今ではYahooの紅葉情報にも掲載されるほどの場所になっています。
これから熊本県内で紅葉狩りをと考えておられる方にはおススメかも…。モミジのボリュームというより、古びた薬師堂から登ってくる時の全体の雰囲気を味わってもらいたいです。

ウォーターレタス2009/11/19 16:21

写真は熊本市内上江津湖の様子を撮影したものです。湖に流れ込む小川一面に外来性水草のウォーターレタスが繁茂しており水面が見えません。このままでは湖面に流れ出したものが繁殖し、やがて一面を覆い尽くすのが時間の問題のようにも思えます。
上江津湖ウォーターレタス
 
もともとは観賞用としてペットショップや熱帯魚店、ホームセンター等で販売されていたものが急速に増えて、手に負えなくなり始末に困って近所の河川に流した結果だと言われています。
このウォーターレタス、原産地は熱帯アメリカやアフリカ、アジアの湿地帯です。繁殖力が旺盛で食用とする動物もいないために西日本各地の河川や湖沼で大発生しています。
水面を覆い尽くす事によって、その下に住む動植物は酸素欠乏と日光の遮断により大量死という結果になりかねません。
実際に徳島県吉野川河口ではシジミ貝の大量死が問題となっています。

江津湖は私もよく行く場所で、至る所から湧水があり、熊本市民の憩いの場となっている自然豊かな所です。清流にしか住まない魚や、江津湖でしか見られない貴重な水草も生息しています。
このまま放置していれば、そのような在来の貴重生物の生息域が極端に狭められ、この湖では見られなくなるかも知れませんし、景観上も非常に問題があると思います。

私自身も過去2回ウォーターレタス駆除のボランティアに参加しました。その時実感したのはもはや市民ボランティアで駆除できるほどの繫殖量では無いということです。
一刻も早く行政で対策を練って、大がかりな除去を行う事が重要だと考えます。


まるでビルの建設現場?2009/11/25 17:52

写真は熊本市内の県営藤崎台球場の外野スタンド外に植えられているクスノキです。国の天然記念物にも指定されていますが、そのうちの1本が足場に覆われてまるでビルの建設現場のような状態になっています。
実はこのクスノキ、昨年の夏以来先端の枝から枯れ始め、現在では幹の上部半分ほどに衰弱が見られるようになってしまいました。
そこで、幹の周りにこのような足場を組んでクスノキを観察、調査を行い衰弱の原因を調べようということになりました。
足場に覆われたクスノキ
本日、仲間の樹木医3人と一緒に私もこの足場に登って、樹木の様子を間近から観察してきました。足場の高さは22m、この場所が市内の高台といこともあって、上から見下ろす景色は
素晴らしいというか、チト冷や汗ものでもありました。
肝心の枝の状態は下の写真で分かる通りかなり深刻なものです。
クスノキの枯枝
大枝はかなり低い位置から衰弱が始まっており、先端部分ではご覧の通り、ほとんど枯れてしまっています。当初は周辺の土壌が長い年月の間に踏み固められた結果、枝の先端から衰えが始まったのではとか、ここ数年続く夏場の高温乾燥が老木の体に鞭打ったのではと考える樹木医の仲間もいました。しかし、現状を見た限りではそんな単純なものが原因ではなさそうです。弱っている個所ではクスノキの葉っぱが光沢を失い、次第に色あせて、大きさも小さくなって落葉している様子からは、何かの病気に侵されていることも十分に考えられます。今、この調査を担当している樹木医の仲間がこのクスノキの組織を分析機関に持ち込んで、病原菌の特定を行っている最中です。

この7本のクスノキの巨木群は夏の野球観戦時には外野スタンドにも木陰を提供し、夏の熊本の代表的な風景を演出しています。また、高台に位置しているために、下から見上げた時の存在感は圧倒的で、まさしく森の都熊本を象徴する緑の風景だと思います。
この素晴らしいクスノキ群が元気を取り戻すように、樹木医仲間と力を合わせて何らかのお役に立ちたいと考えています。


巨樹・古木めぐり2009/11/30 17:56

今回で5回目になるNHK文化センター主催の「巨樹・古木めぐり」に11月20日に行ってきました。今回の訪問先は熊本県南部の人吉・球磨地方。お天気を心配していたのですが、最後の見学地である生善院(猫寺)のウスギモクセイを見終わるまで何とかもってくれました。これも受講者の皆様と案内役の私の日ごろの行いが良いからだと確信しております。(笑)
見学個所は人吉城跡のイチイガシ、ムクノキ→青井阿蘇神社のクスノキ→松の泉酒造のニッケイ→麓城址のイロハモミジ→猫寺のウスギモクセイでした。11月に入ってから順調に気温が下がって来たからでしょうか、紅葉も例年になく鮮やかで特にイロハモミジの紅葉はみごとでした。写真は以前にも紹介し、今回の見学地の一つにもなっていた麓城祉公園のイロハモミジを見学している時の様子です。以前、11月15日にアップした時よりも紅葉が進んでおり、丁度見ごろを迎えて皆さんも途中の急な山道を登ってこられた甲斐があったのでは?(汗)
 
NHK文化センター人吉・球磨
 

この講座は春と秋の年2回開催され次回(来年の3月か4月)は小国郷を訪ねる予定です。
ブログをご覧の皆様で参加したいとお思いの方はNHK文化センターまでお問い合わせください。樹齢数百年といわれる巨樹・古木を育んだ自然の息吹を感じられるはず!私の拙い解説も付いてきます。(笑)

熊本市内でも公園の木々や街路樹が美しく色づいています。目抜き通りのイチョウやケヤキ並木は今週~来週が一番の見ごろだと思いますし、ナンキンハゼもそろそろ色づき始めています。この機会に皆さんも身近な樹木の紅葉を楽しまれてみてはいかがでしょうか?