楠の枝落とし ― 2009/12/11 09:41
今年の春先に熊本県山鹿市の教育委員会から「市の保存樹木のクスノキの様子がおかしいので一度見に来てほしい」という連絡がありました。早速、問題の樹木を見に行って報告書を書を提出したのが4月の初め頃。内容はクスノキの周辺の土壌の部分が固くなりすぎており、根が酸素や水を十分に吸収できない状態となっており、そのために枝先から衰弱して枯れ始めているというものでした。処置の内容は最初に枯れた枝を切断して、枝が落ちる危険を回避すること。次に周辺土壌の地表から深さ30㎝が砂によって客土が行われ、非常に固まった状態なので、この部分を取り除き、土壌改良を行うこと等を提案しました。
そして、やっと先日、クスノキの所有者であるお宮の総代から連絡があり、最初の枝落とし作業を行っている時の写真です。
そして、やっと先日、クスノキの所有者であるお宮の総代から連絡があり、最初の枝落とし作業を行っている時の写真です。
当日はあいにくの小雨模様、27mの高さまで届く作業車を用いての作業だったのですが、さすがの作業員もこれくらいの高さになると慣れるまでが大変だったと言ってました。(冷汗) そして、下の写真が切断後に殺菌処理を行っている様子です。
樹木の枝を切断したまま放置していると、そこから腐ってくる可能性が大きくなります。そこで通常、直径10㎝を超えるような切り口には必ずペースト状の殺菌・防腐剤を塗布します。
クスノキは意外と腐朽に強く、簡単に腐るような樹木ではないのですが、他の樹木、たとえば街路樹として植えられているケヤキやイチョウなどは剪定後の傷口が大きな空洞となっているものを良く見かけます。切断面から広がった空洞は時を追う毎に拡大して幹の方まで広がります。幹や大枝に空洞がある樹木は台風や強風の際に倒れたり、枝が落ちてきたする可能性があるため、この作業は非常に重要なものとなります。
上の写真は大枝に出来た空洞です。これは推測ですが、台風等にあおられて枝が折れた際に、その傷口が腐朽して出来たものでしょう。枝が折れた後に、きちんと切り戻しを行い殺菌剤を塗布していれば、このような空洞は出来なかったかも知れません。ただ、重要な事は土壌環境が悪くなっているせいでこのクスノキが衰弱した状態にあり、衰弱状態が傷口の回復を遅らせ内部の腐朽や空洞化を招いているということです。一刻も早く土壌環境の改善が必要だと考えます。
最初の写真をクリックして拡大していただくと、拝殿の右側に腰かけられている2人の人物が分かると思います。宮総代と老人会の世話をなさっている方です。この日も朝早くから宮司さんを呼んで、自分たちの作業の安全のためにお祓いをやっていただきました。お陰さまでこの作業は順調に終了しました。あとは早く予算をつけて土壌改良の処置を出来るだけ早期に行っていただくことを祈るのみです。(合掌)



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