園芸資材の展示会2011/02/03 16:54

先週の木曜日、マリンメッセ福岡で開催された園芸用資材の展示会に行ってきました。
ガーデニング用品からテラコッタ、農薬、花やバラ、樹木の苗木、花器、ラッピング用品に至るまで園芸に関するありとあらゆる今年注目の商品が展示されています。

出展者にとっては早期の受注を獲得する絶好のチャンスですし、バイヤーにとっても春のガーデニングシーズンに向けて魅力的な商品を発見するまたとない機会なのです。

実は私も10年以上も前から、出かけて行っては買い付けを行ったり、ガーデニングに関する新商品の情報収集を行っています。

ただ、この業界も不況の波は確実に押し寄せているようで、10年前に比べると出展者、バイヤーの数ともにかなり少なくなっています。

そんな中、今年の特徴は除草剤や殺虫剤等の農薬関係の出展が多くなっていることです。この傾向は、ここ数年来かなりはっきりと現れています。
下の写真はこの春発売される新しい殺虫剤です。

農薬

製造メーカーの人の話によると、アブラムシのほかコナジラミやハモグリバエ等の小さくてこれまで薬剤の効果が薄かった害虫にもよく利くそうです。
自分でも実際に自宅で試そうと思い、商品をもらってきました。

そのほかにもラウンドアップをはじめとした除草剤が何種類も出展されており、それらのコーナーはメーカーの方の力の入れようもかなり熱を帯びていたような気がします。

これら、殺虫剤や除草剤等の農薬に注目が集まるのは、背景として農家の人手不足があるのではないかと思います。
これまでは、手に鎌を持って除草をしていたけど、今となってはその手間がかけられなくなっている現状があります。これは農家だけの問題ではなく、私たち造園の世界でも同じことが言えます。道路の植栽帯の草を抜く経費がかけられないために、行政では除草剤の使用を容認というか、かなり積極的に行っているところがあります。

皆さんの中には、除草剤や殺虫剤と聞くだけで、何か危険なもの、人体に悪影響を及ぼすものと考える方も多いと思いますが、現在、使用されている農薬の殆どが毒性の低い“普通物”となっています。もちろん、使用回数や濃度、使用方法が明記されているのでこれをしっかりと守る必要はありますし、農薬だけですべてを解決するのではなく、時には草を抜いたりなどの人力の作業との組み合わせが重要だと考えます。

農家や緑化関係の仕事以外、おうちのガーデニングの中でも農薬を上手に使うことが、園芸を長く楽しむ秘訣ですし、緑や草花を上手に育てるポイントのような気がします。

久しぶりの天満宮2011/02/07 15:55

昨日、久しぶりに家族連れで大宰府天満宮に行ってきました。昨年夏に阿修羅展を観に行った時以来ですので、半年ぶりとなります。実は今回もお参りが主な目的ではなく、隣の九州国立博物館で開催中の“ゴッホ展”を観た帰りに立ち寄りました。

国立博物館から天満宮の出口方面に進んでいくと遊園地の横に梅園があります。
まだ殆どの梅はつぼみの状態だったのですが、中には下の写真のように開花したものもありました。
全ての花が満開になった頃には、その美しさもさることながら、あたりに梅独特の甘酸っぱい香りが漂って、さぞ、気持ちの良い場所となるに違いありません!
因みに、本殿横の“飛び梅”も開花がはじまっていました。今月下旬が見頃かもしれません?


大宰府紅梅



梅を眺めた後、今後の学業祈願、家内安全、商売繁盛と色々な事を道真公にお参りしました。
そして、人込みを避けて、横の通路を参道方面に帰って行く途中に非常に気になる光景を発見しました。


大宰府クスノキ1



上の写真は池の畔に植えられているクスノキの根の部分を裏から写したものです。根系のかなりの部分に空洞が見られ、現在残っている根についてもかなり傷んでいるのが判ると思います。
この、クスノキ自体、写真奥の池の方向に傾斜して池に枝が被るような状態で成長しているので、非常にアンバランスな状況であると言えます。

大宰府クスノキ2


この空洞の大きさから判断すると、幹内部にも腐朽は広範囲に広がっているものと推測されます。
池方向に伸ばした幹や枝を、反対方向に引っ張る形でバランスを保っていた根系がこれほどダメージを受けているという事は、今後、腐朽の進行とともに樹木自体が池方向に倒れる可能性も否定できないと思われます。

根系衰退の原因としては、参拝者の通路となったり、定期的に露店が立ち並んだりする場所であるため、地盤が固く踏み固められ、根が水や酸素を吸収出来なくなって衰弱していると思われます。

対策としては根系周辺の土壌を通気性、排水性に富むような構造に改良を行う事。それから、周辺土壌に有機質の改良材を混入して、土壌微生物の活動が活発になり、新しい細根の成長が促される環境作りが急務だと思われます。

福岡に知り合いの樹木医の方がいらっしゃるので、土壌改良の話をしてみようと思います。

クスノキが少しでも元気になれば、道真公も私たちのお願い事を気分よく聞き入れてくださるかもしれません…。(汗)

バラの花壇2011/02/09 16:53

一昨日、昨日と2日間をかけて熊本市内某所S様邸にバラの花壇を作りに行きました。
このお宅、先代から受け継がれた和風庭園の横のスペースを利用して、奥様の趣味であるバラを12~13本地植えにされて楽しまれていました。
しかし、もともとの庭とバラを植えるスペースを明確に区別したいというお考えから、今回の花壇の設置となったわけです。
施工の内容はすでに植えてあったバラをいったん掘り上げ、仕切りを入れる部分に砕石とモルタルを敷いて、その上に枕木を据え付け、花壇内部の土づくりを行い、最後にバラを植え付けるというものです。
完成した花壇は下の写真のようになりました。

バラの花壇

花壇の大きさは4m×3m程度の広さです。この面積の土づくりの材料として馬糞堆肥10袋(20ℓ入)、ボラ土10袋(18ℓ入)、再生炭10袋(30ℓ入)、パーライト1袋(100ℓ入)を混ぜて管理機で念入りに耕しました。最初は改良材の量が少し多すぎたのではと思ったりもしましたが、元からの土と混ぜていくにつれ、色といい、硬さといいバラを植え付けるには理想的な土壌が出来上がったと思います。
施工に係った手間は社員3人でほぼ2日がかりでした。
作業後、施主様が「あの3人は本当の職人で、図面より綺麗に仕上げてくれたのでよかったです。」と言っていただいたのは非常に光栄なことでした。
因みに、図面を書いたのは実はこの私なのでした…。
後は、この庭にも春が来て、植え付けたバラの花がきれいに咲き誇ることを祈るばかりなのです。

大津街道杉並木2011/02/17 13:10

樹木医会の機関誌の特集で「時代を語る地域の樹木・樹林・並木等」の記事の募集依頼がありました。
私としては地元の大津街道杉並木の事がすぐに思い浮かび、是非、ここを掲載してもらおうと実際に現地取材に行ってきました。
まず最初に、昔の杉並木の写真が手に入ればと地元の菊陽町役場を訪れました。最初に対応してくれた教育委員会では写真が一枚も残ってなく、そこで総合政策課というセクションを紹介していただき、やっと見つけ出したのが上段の写真です。昭和41年発行の村政要覧の表紙から町の承諾を得て掲載しています。写真自体は昭和30年代後半の物だと町の職員の方は言われてました。
下段の現在の様子と比べると、いかに杉並木が生き生きとしていたかがお判りになると思います。

昭和30年代の杉並木
             昭和30年代の大津街道杉並木 JR三里木駅付近
現在の大津街道杉並木
             現在の大津街道杉並木 JR三里木駅付近

この杉並木、もともと加藤清正が熊本城築城の際に屋久島から取り寄せた杉を豊後街道に植えたのが始まりとされています。目的としては

   ①戦いの際に杉を切り倒して敵の侵入を防ぐため
   ②熊本城の改築をする時に杉の木材を利用するため
   ③旅人に日陰を作り、休息の場所を提供するため
   ④火山灰でチリが舞うのを防ぐため
   ⑤木が小さいときには菅笠(すげがさ)をかぶせて、敵に兵隊に見せかけてかく乱するため

などと言われています。さすが戦の達人加藤清正、考えがとても深いですよね!
現在では清正が植えた杉は1本も残っておらず、ほとんどが明治維新以降に植えられたもので、昭和以降に植え継がれたものが多いという事です。
清正が植えたころには街道は凹道となっており、杉は街道より高い位置にあったのですが、時代の移り変わりとともに、並木の内側を走る道路やJR線のかさ上げが行われ、今ではほぼ同じような高さに感じられます。この為、杉の根系が土砂やコンクリート、アスファルトに埋もれ、透水性、通気性が悪くなり、結果として今の衰弱を招いているようです。それから、周辺の都市化によって、以前はあったはずの森や畑が宅地や工場、お店などに代わって行ったことも衰弱の原因の一つだと考えます。

今では愛護会の人たちが後継樹の育成に当たられているみたいですが、高年齢化と人手不足によって、満足な管理は殆ど出来てないのが現状だそうです。

熊本を代表する緑の風景が失われつつあるのを見ると、少しやりきれない思いになります。せめて、後継樹の育成を継続できればいいのですが…。

巨木の計測2011/02/21 11:29

先週の土曜日、熊本県樹木医会の仲間6名と熊本県文化課の職員の方、それに測量士の方を加えた計8名で国の天然記念物に指定されている藤崎台のクスノキ群の計測に行ってきました。
立て看板によると幹周は最大のもので12mと表記されているが、実際はそれよりもかなり大きいのではないかとの指摘が一般市民の方からあり、確認の為に出向いたわけです。
その時、計測している様子が下の写真です。

クスノキの計測


通常、樹木の大きさを言う場合、樹木が経っている地面から1.3mの高さの幹の円周を計測した値となります。
しかし、写真をご覧になると地面から1.3mどころか、2.5m程もありそうなかなり高い位置を計測しているのが判ると思います。この位置で計測すると丁度12mになるのです。
因みに、1.3mで測った場合、そこは幹ではなく根が横に張り出した部分となり、確かに20m程はありそうでした。

そもそも、巨木と言われるクスノキの多くは幹の下部から根が横張りに広がり、地上に発達した根の部分と幹の区別がつきにくいのが一般的です。
それでも、無理やり1.3mの高さを計測すれば当然の事ながら、幹周は実際に感じるよりも、かなり大きくなります。
全国の巨木と言われるクスノキの幹周は、このようにして表されているものが多いのではないかと思われます。

杉やイチョウなどの樹木はクスノキのように根を地上部にまで広く発達させないので、1.3mの位置の計測でも問題はなさそうですが、クスノキのような樹木の場合はその方法で、正確な木の大きさを表しているのか少々疑問に思わざるを得ませんでした。

別な見方をすれば、幹周による木の大きさではそれほどではなくても、人の心をを引き付けるような魅力的な樹木が沢山あるという事ではないでしょうか?
以前にここでも紹介した武雄の大楠などはその良い例ではないかと考えています。

蕾膨らむ2011/02/24 17:52

写真は熊本県第2位の標高を誇る市房山を麓の水上村、市房ダム付近から撮影したものです。
昨日は熊本地方の最高気温が20℃を上回り、今年最高、4月下旬並みのポカポカ陽気でした。それでも、先月来の寒さのせいか、山の頂にはうっすらと白く雪が残っているのが判ると思います。ここ数日九州の平地ではすっかり春めいては来たものの、お隣の宮崎県境に広がる九州山地の山奥では、春の訪れはもう少し先になるようです。

市房山


この市房ダム付近にはダム湖の畔に約10000本と言われるソメイヨシノが植えられています。今はご覧のようにやっと蕾がふくらみかけた状態ですが、あと1月足らずで見ごろを迎えるのではないかと思われます。
桜のつぼみ


満開の頃には桜まつりが開催されたり、ダム湖周回コースでマラソン大会が開かれたりと、人口2500人ほどの小さな山里も一年中で一番の賑わいを見せます。
私も2年ほど前このマラソン大会に参加しました。満開は少し過ぎていたのですが、美しい山々の麓、桜吹雪の下を駆け抜ける爽快感は今も心に残っています。機会があればもう一度走ってみたいです!

ここは最近、市房山麓にある杉の巨木を見て回るトレッキングツアーが人気を集めているそうです。4合目にある市房神社の参道には樹齢1000年は経っているといわれる巨木が50本ほどあるといわれています。自分もマラソン大会に参加したおり、宿泊した市房観光ホテルのオーナーの方から話を聞いて、職業柄、是非参加してこの目で見てみたいと考えているのですが、こちらの方は未だ実現していません。

花を見たりトレッキングをしたりして、ダム湖のすぐ上流にある湯山温泉で汗を流すのも、また格別なのかもしれません!

樹木医と行く巨樹・古木巡り(筑後)2011/02/28 09:04

月日の流れるのは早いもので、晩秋の有田~武雄を訪ねたのもついこの前の事のように思っていたのですが、先日、NHK文化センターより春の講座のチラシが送られてきました。
毎年、春秋の2回行われている『特別現地講座』、今回は丁度見ごろを迎えているであろう黒木の大藤と新緑が美しい清水寺本坊庭園を中心に筑後地方の緑の名所を訪ねます。


巨樹・古木巡り

因みに、見学地の中に書いてあるべんがら村というのは筑後地方の自治体の名前ではなく、八女市を代表する観光施設だそうです。今回は昼食場所として立ち寄ります。HPもちゃんとあって、その中でレストランの事がおしゃれなスローフードと紹介されていました。(笑)
当日、案内人の楽しみの一つは、過去7回のうち未だ期待を裏切ったことのない昼食にあります。今回も文化センタースタッフの方の綿密なリサーチにより土地の産物を使ったおいしい料理が待っているはずですので、これを励みに講座の準備に万全を期したいと考えています。

多分、このチラシは3月1日の地元紙の折込のほか、熊本市内の各公民館や美術館、デパート、JRの駅等においてありますので、興味のあられる方は是非ご参加ください!

詳しい内容等のお問い合わせは NHK文化センター 熊本教室 TEL096-351-8888 
                      URL www.nhk -cul.co.jp NHK文化センター熊本教室 
                      もしくは ㈱JTB九州熊本支店 TEL096-325-8193 まで