樫の木の大きなコブ ― 2012/07/07 08:30
樹木にこのようなコブが出来るケースとして良く知られるのは、エンジュやマツの“コブ病”です。サビ菌と呼ばれる菌類の影響で起こる病気で、幹や枝が一部分だけかぼちゃのような形に膨らみます。また、サクラやモモの“癌腫病”は皆さんも名前は聞かれたことがあると思いますが、特徴としては罹病部が膨れ、その表面がガサガサした感じになる事です。
このシラカシのコブを見ていると表面が滑らかで、上記のいずれともコブの感じが違っているように思います。
他の理由としては、樹木が他の異物を飲み込む際に、異物と接する組織を異常に発達させてコブのようになることがあります。ただ、異物を飲み込んだにしては形が大げさすぎる様な気もします。
理由は何にせよ、形が人のお尻になんとなく似てたので、しばらくの間見入ってしまいました。
皆さんの周りの公園の樹木をよく見まわしてみると、これと同じようなコブや、幹のねじれ、2本の樹木が合体したり、色々と面白い発見があるかもしれません。
高森殿の杉 ― 2012/07/23 08:13
先日の金曜日、時折強く降る雨の合間を縫って、NHK文化センター秋の現地講座の下見に行ってきました。今回の見学地は南阿蘇の高森町から宮崎県の高千穂町を巡るコースです。
道中、先日来の豪雨災害で大きく土砂崩れをお越し、大量の土砂や倒木で押しつぶされた民家を目の当たりにして、水の力のすさまじさに言葉を失いました。高森の象徴である根子岳もご覧の通り、ところどころ茶色く筋が入っており山崩れの痕も生々しいです。
道中、先日来の豪雨災害で大きく土砂崩れをお越し、大量の土砂や倒木で押しつぶされた民家を目の当たりにして、水の力のすさまじさに言葉を失いました。高森の象徴である根子岳もご覧の通り、ところどころ茶色く筋が入っており山崩れの痕も生々しいです。
この根子岳の麓の集落に「前原薬師堂のケヤキ」という巨樹を訪ねました。ひっそりとした集落を見渡す様な堂々とした姿です。傍らには守り神でしょうか、不動様と思しき1対の石像が置かれていました。
次に訪れたのは高森町の郊外、外輪山のふもとの牧場の中です。山道に車を止めて、牧場の扉を開け、牛が逃げ出さないように扉をしっかりと閉め坂を上る事5分程度、こんもりとした木立の中に目的の樹木が見えてきます。何だかのどかな風景です。
これまでに多くの杉の巨木を見てきたつもりなのですが、この樹木は、その形がこれまで見たことが無いように奇妙というか、おどろおどろしい雰囲気さえただよわせています。森の他の杉の木は比較的樹齢も若く、いわゆる、すっとした姿で天を目指しているのですが、この2本だけは特別な存在です。
「高森殿の杉」という名前は天正時代というから安土桃山の頃にこの地で自刀した、武将の墓があったことに由来するとか。
大枝が幹に近い部分で大きく湾曲し、一部は地面についている様子です。どうしてこのように曲がりっくねってしまったか、理由は定かではありませんが、一見の価値はある樹木です。しかし、残念ながら講座で利用するバスが入ってこれるほどの道幅が無く、秋の現地講座では行けそうもありませんが、皆さんにも是非、情報の提供を行いたいと考えています。
最近では、熊本のパワースポットとして地元のテレビにも取り上げられたせいか、訪れる人も多いらしく、牧場の柵の前で車を止めていると、通りがかりの軽トラックのオジサンに適切な駐車場所を教えていただきました。
この後、外輪山の外に出て高千穂方面の巨木を訪ねました。その様子はまた次回。
前回の続き ― 2012/07/24 09:38
現地講座の下見で前回までは高森町の巨樹・妖樹(?)をお伝えしましたが、今回は、その続きで高森町からお隣宮崎県高千穂町に至る後半部分です。
まず最初は阿蘇外輪山の峠を越えて、宮崎県との県境に近い草部吉見神社へ。案内には宮崎県の鵜戸神宮、群馬県の貴前神社と並び「日本三大下り宮」の一つとありました。どういう事なのかと考えつつ神社へ向かってみると、その言葉通り、境内に入るには杉木立の中の階段をひたすら降りていきます。新しく整備されたと思しき石段で表面がつるつるしていてなかなか怖い!手摺にしっかりと掴まりながらの参拝となりました。
まず最初は阿蘇外輪山の峠を越えて、宮崎県との県境に近い草部吉見神社へ。案内には宮崎県の鵜戸神宮、群馬県の貴前神社と並び「日本三大下り宮」の一つとありました。どういう事なのかと考えつつ神社へ向かってみると、その言葉通り、境内に入るには杉木立の中の階段をひたすら降りていきます。新しく整備されたと思しき石段で表面がつるつるしていてなかなか怖い!手摺にしっかりと掴まりながらの参拝となりました。
そして、神殿の左側にお目当ての杉の巨木を発見しました。樹高40mを超えるとされてるだけあり、なかなかの迫力です。先ほど抜けてきた杉木立(上の写真)は、まだまだ小さい、子供や孫のように感じられます。
杉の巨木に別れを告げ国道325号線に架かるループ橋を渡れば、宮崎県の高千穂町に入ります。
途中、国道を左折し、やや道幅の狭い道を走る事2~3分、のどかな田園風景の中にお目当ての「下野八幡宮」はあります。神社としては小さなものですが、その決して広いとは言えない境内には所狭しと杉やケヤキの巨木があります。
最初は鳥居の左側に、一際の存在感とともにある「逆さ杉」 です。なんでも源平合戦後、平家残党の討伐でこの地を訪れた武将が、討伐祈願として、ここに杉の苗を逆さに挿したのがその名の由来だとか…。なんだが勇ましい話ではあります。その姿もご覧の通り、かなり力感で見るものに迫ってくるようです。
次はこの鳥居の奥の左側にある「大イチョウ」です。幹の周りが9mもあるそうです。幹が途中から2又に分かれて、幹の表面はごつごつして年齢を感じさせるものがありますが、どちらの真直ぐに伸びています。
そして、三番手は拝殿の右側にある「ケヤキ」です。樹高30m、幹回り9.5mもある堂々とした姿です。辺りに巨木が立ち並んでおり、あたりが薄暗いせいか、幹全体にコケが付着している様子が何とも風格を感じさせます。
上記の杉、イチョウ、ケヤキは何れも国の天然記念物に指定されています。この他にも「有馬杉」と呼ばれる杉の巨木がありました。
何の変哲もない田舎の神社なのに、これだけ魅力的な樹木があるとは、新たに大切な場所を探し当てたようなうれしい気分になりました。
今回、最後に訪れたのが、天孫降臨の地で知られる「高千穂神社」です。さすがに観光地だけあって駐車場には観光バスやタクシーも多く停まっており、生憎の雨にもかかわらず、多くの参拝客で賑わってました。もしかしたら最近のパワースポットブームでお客さんも増えてのかもしれません。
境内には皇族お手植えのものも含め、多くの杉の巨木が生い茂っており、昼間でも薄暗さを感じます。ここでのお目当ては拝殿前にある「秩父杉」です。言い伝えによれば、源頼朝が天下泰平の祈願の為に秩父の畠山重忠を代参として派遣し、重忠が自ら植えたものだそうです。
樹齢800年 樹高55m 幹周7.15m カメラを引いて撮影してみたのですが、樹木の上半分は写真に収まりきれませんでした。
秩父杉の向かい側、拝殿の向かって左側には「夫婦杉」があります。2本の杉の木ですが、根元の部分がくっついた状態となっています。
いかなる事があっても別れられない形を表わしており、手をつないで3回まわると、夫婦、友人(婚約者)仲睦まじく、家内安全、子孫繁栄の願いがかなうそうです。周囲の木柵には祈願の絵札が沢山掛けられてましたし、丁度、この日も何組かの男女が仲睦まじく周囲を回っている姿を見受けました。
因みに、私も賽銭をあげて、お参りだけはきちんとしてきました。
阿蘇~高千穂にかけては実に多くの杉の巨木が神社のご神木として大切に保護されています。
九州の山里を代表する樹木といったところでしょうか。実際の講座は11月に開催されますが、今から皆さんをご案内する日が待ち遠しい気がします。
また、下野八幡宮への道を親切に教えていただいた高千穂町観光協会の方には大変感謝しております。講座当日にお会いできればと思っています。