長い間お世話になりました。2013/01/10 17:23

 
 遅ればせながら、皆様あけましておめでとうございます。
という新年の挨拶とはいささかそぐわないタイトルですが、当社が10年近くお庭の管理をさせていただいている民間の療養施設“待労院診療所”が本日をもちまして閉鎖となりました。朝からのNHKのニュースでも取り上げられてましたので、ご存じの方も多いと思います。

 お付き合いのきっかけは私のHPをご覧いただいた待労院のシスターから直接お電話をいただき、「庭のモミジが弱ってきてるので診てもらいたい。」とのお話をいただいた事が始まりでした。以来年間を通じての除草作業、樹木の剪定や消毒、衰弱した樹木の樹勢回復のための処置など、庭の管理全般にわたる作業を任せていただきました。
 私がご挨拶に伺うと、年によってモミジの紅葉がきれいでなかったり、花梨が例年にないほどたくさん実をつけたりと、その年、その年で変化をしていく庭木の話をシスターが熱心にされていたのを思い出します。

 下の写真は前庭を撮影したものです。最初の年に裏のお庭から桜を移植しました。
待労院診療所1

 

 上の写真と反対側には薄い緑の花をつける“御衣黄”という桜を植えました。
待労院診療所3
 


 キリスト像の横の梅はかなりつぼみを膨らませています。
待労院診療所2


 今日で110年以上にわたる診療所としての歴史に幕を閉じたのですが、今後、施設の保存についてはまだはっきりとは決まっていないそうです。

 私個人の考えですが、お庭の一部でも、入所されていた方々の思い出として残していただく事が出来ればと思います。


椎葉村の巨樹2013/01/15 16:45

 今週の日曜日、昼前から冷たい雨が降ってきたのですが、そんな寒空の中、宮崎県椎葉村に巨樹を見に行きました。熊本市内からだと国道218号経由で約2時間弱といったところでしょうか?九州の秘境と言われるだけあって、もっと時間が掛かるかと思っていたのですが、道路事情も比較的良好で目的地付近までは比較的快適なドライブでした。しかし、長いトンネルを抜けて椎葉村に入るなり、周辺の山々の様子は人工的に植林された杉の姿からカシやケヤキなどに加えて、アカマツやカヤといった自然林が目立つようになります。しかも、1本1本の樹木も大きい!何だか、秘境にやってきた!という感覚十分です。

 私が訪れたのは椎葉村の十根川という集落です。十根川という川沿いにあるのですが、川が作った深い谷あいの傾斜地に家が点在するといった感じです。
 下の写真は途中の道から撮ったものです。遠くの景色は雨で霞んでよく見えませんが、山奥の雰囲気は判っていただけるでしょうか?
十津川神社より

 最初に見たのは、この集落にある十根川神社境内の八村杉(やむら杉)です。名前は神社が昔、八村大明神と呼ばれたことからついたといわれています。

 

 境内の一番奥にあり、まさしく天を衝くといった言葉がぴったりと当てはまるかの如く、上空へ幹を真っ直ぐに伸ばしています。手前にはイチイカシや他の杉の巨木もあるのですが、この杉に比べたらかなり小さく感じるほどです。写真に写っている朱塗りの社殿と比較すれば、その大きさがわかると思います。
 
 樹高54.5mは全国2番目、幹周は13.3mで、国の天然記念物に指定されています。

八村杉

 


 
 この八村杉から2キロ程山道を車で登ると、目指すもう一本の大久保のヒノキに着きます。200m程手前の駐車場(トイレあり)に車を停めて、細い道を歩いていくと、突然、森の中に異様な姿の樹木が目に入ってきます。月並みな表現かもしれませんが、まさに霊気を感じるとはこのことなのでしょう。

 幹の途中や大枝の途中から無数に多くの枝を分岐させており、樹冠は上空で大きく広がっています。人工林でよく見かけるヒノキの姿とは似つかない姿で静かな森の中に異様な存在感を示しています。

大久保のヒノキ

 幹の部分をよく見ていると、何か今にも動き出しそうな感じさえ漂っています。根元に空いたウロには榊の葉が供えられていました。まさしく山の神が宿る樹なのでしょう?
大久保のヒノキ幹
 

 今回訪れた2本の巨樹は、この春に予定しているNHK文化センター巨樹・古木めぐりの講座でも是非訪れたい場所です。出来れば、付近の美しい桜の名木とともに訪れたいです。講座の最後に柔らかな雰囲気の美しいものでも見て帰らないと、この2本はインパクトがあり過ぎです。後味が濃すぎます。