NHKカルチャー現地講座2013/11/07 11:39

以前からこのブログでもご紹介していますNHKカルチャー現地講座で佐賀に行ってきました。今回で確か13回目となります。お天気が心配されていたのですが、幸いにも見学中は曇り空の天気で、野外で樹木を見学するのに丁度いい具合でした。

まず、最初に訪れたのは佐賀県多久市の多久八幡神社です。隣り合わせるように孔子廟で有名な「多久聖廟」、紅葉の名所として知られる 「西渓公園」があるのですが、今回は巨樹の講座ということで、多久八幡神社のみの見学となりました。
ここには拝殿横に大きな杉の木が三本連なるように立っています。「多久八幡神の三本杉」として有名です。

多久八幡神社 三本杉

立て看板によると 、樹齢七〇〇年余りで、三本の杉が合体したのか、一本から三つに別れたのか分からないと書かれていました。私は樹の形状から考えて、隣り合わせて生育した三本の杉が合体したとしか思えないのですが、みなさんはいかがでしょうか?

続いては、佐賀市富士町下合瀬にある国の天然記念物「下大合瀬の大カツラ」です。場所がピンと来ない方も多いかと思いますが、妻夫木聡主演の映画「悪人」で妻夫木君が相手役の満島ひかりちゃんを殺害してしまう三瀬峠のすぐ近くです…。

下合瀬の大カツラ

写真ではわかりにくいのですが、私の背後に写っている何本もの大枝はすべて一本のカツラから伸びているものです。25本のヒコバエ(萌芽枝)が出てるそうです。周囲は杉の人工林の中にカヤの木が点在するような沢沿いの場所ですが、周りの雰囲気とは一線を画する、まさに異次元の存在感です。木にはしめ縄が巻かれ、山神様として古くから崇められています。
丁度、この日はカツラの葉が黄色に色づいており 、色づいた葉が発する独特のカラメルのような甘い香りが周囲に微かに漂っていました。写真では森の甘い香りがお伝えできないのが残念です。
このカツラの巨木が持つ存在感は、たいして信心深くはない私でさえ、山の神様の存在を信じられる場所です。

このあと、近くのお蕎麦屋さんでそばの実とお蕎麦の定食を食べ、佐賀市内に戻ってきました。

佐賀城西堀

ここでは佐賀城西堀の楠の木群と公園内にある「楠の木おばさんの碑」を見学しました。楠の木おばさんこと「福田ヨシ」さんは戦中戦後の混乱期に樟脳の原料として伐採されようとした楠の木を命がけで守ったとされる人物です。県議会議員としても活躍されたそうです。
そう言えば佐賀県という名前の由来も、その昔、日本武尊がこの地で楠の木の栄え繁る有り様を見て「栄の国」と呼び、それが転じて「佐賀」という地名になったという話があります。福田ヨシさんもその事を重々ご承知だったのでしょう?

お堀端を散策した後、最後の見学地である諸富町の「新北神社」へと向かいました。
ここでは、拝殿横の「ビャクシン」を皆さんにご覧頂きました。

新北神社のビャクシン

ビャクシンはヒノキ科の常緑針葉樹で、海岸の岩の上や砂地に自生する 樹木です。盆栽としても用いられシンパクという名前でも呼ばれています。庭木として植えるカイズカイブキはビャクシンの園芸品種 です。

説明板によると、今から2200年前、秦の始皇帝から不老不死の薬を探す命を受けた徐福が上陸の証として種を植えたものだとか?なので、樹齢は2200年だそうです。

写真でも分かるように幹の大部分は空洞で、ねじれるように傾きながら上へと伸びています。独特の雰囲気があり、見ていて飽きない樹木です。
私達が見学をしていたところ、丁度、宮司の方が出てこられ、樹木や神社の説明をしていただきました。この諸富町一体は徐福の伝説が多く残されているそうです。

最後の見学地を後にして帰路につきました。途中、お隣の福岡県大川市で有名な蒲鉾店に立ち寄り、皆さんお待ちかねのお土産タイム!私も夜のお酒のつまみにと、ついつい買いすぎてしまいました。

帰りのバスの中では、行き掛けに出題していた恒例の「樹木クイズ」の回答を行いました。少々難しかったと思っていましたが、みなさんの高正解率には驚かされました。次回からはノーヒントで厳しくいきたいと思います。(笑)

朝、出発した熊本交通センターに着いたのは6時半を過ぎ、すっかり暗くなっていましたが、最後に「楽しい一日でした。」と言っていただいたのが大変嬉しかったです。また、来春も皆さんを緑豊かな場所へご案内出来ればと考えています。



旧細川刑部邸2013/11/14 16:46

ここ数日、真冬を思わせる冷え込みが続いており、熊本市内でもイチョウの葉が黄色く色づいてきました。そんな中、先日このブログで紹介しました熊本城二の丸公園の下にある、旧細川刑部邸に行ってきました。実はこの場所、当社が20数年前に石張りと植栽の一部を施工した場所です。

丁度、下の写真付近の石張りを施工し、周辺の木々を植栽した記憶があります。
植栽当初はまだ樹木も小さく苔なども生えていないために、樹木が浮いた感じがあったのですが、植栽後20年も経つと大きく育ち、周辺の土塀や石張りとの調和もとれてきたみたいです。
20年とは言わず、ずっと以前からそこにあったような雰囲気を出しています。

旧細川刑部邸の石張り

前庭の紅葉はまだこれからといったところだったのですが、中庭には真っ赤に紅葉したモミジも見られました。
樹木の元気具合やちょっとした日当たり具合で紅葉も一様ではないようです。

刑部邸の蔵

裏庭には手水鉢が置かれています。ここだけ見ているとなんだか京都のお寺にでも来ているような気になります。

刑部邸の手水鉢

中庭には綺麗に刈り込まれたマキノキが植えられており、石灯籠も据えられています。


刑部邸の中庭

熊本で庭といえば、水前寺成趣園を思い起こしますが、熊本城のすぐ脇にもこんな素敵な場所があります。紅葉もこれからが見頃といったところです。
皆さんも是非、秋を堪能しにお出かけになってみてはと思います。城内から散策してくるには丁度良いコースですよ。


庭木の手入れ2013/11/22 09:40

今年もこの季節がやってきました。そうです、お正月を前に個人庭園の庭木の手入れが最盛期を迎えています。庭木の手入れはお盆前と正月前の今の季節、年に2回行うお家が殆どです。ですので、この時期は通常の造園工事に加え剪定作業に対応する人出も必要になるため、大忙しの毎日です。

この日は、熊本市内の某邸を竹梯子を掛けて行いました。

松の木の剪定
 
手前の松の木に掛けた梯子は16段です。一番上の段でおよそ6.5mの高さになります。一見、不安定な印象ですが、竹本来が持っている柔軟性と横に掛けたロープによりアルミの脚立よりずっと安定感があるのです。アルミの脚立の様に上に乗ってバランスを崩したとしても、すってんころりという具合には転倒しません。
もちろん誰でも気軽に使える道具ではなく、使いこなすためにはそれなりの熟練が必要ではあります。

槙の木の剪定

今年は夏の暑さがあまりにも厳しく、雨が少なかったせいでしょうか、いつもの年に比べて、松や槙の木の葉の出方が少ないようです。

樹木剪定

比較的低い場所では扱いが簡単で持ち運び便利な、アルミの脚立を使ったりします。
これから年末に掛けて、竹梯子とハサミが大活躍の毎日が続きます。