数年ぶりの満開!2012/04/03 13:50

  このブログでたびたび紹介している公園の桜が数年ぶりで満開を迎えました。!!
今日は朝から風雨が強く、春の嵐といった天気だったのですが、風に花びらを散らしながらも健気に満開を迎えています。

 ここ数年は野鳥のウソによる食害の為、2月~3月には膨らみかけた蕾が殆んどといっていいほど食べれれていました。そこで、忌避効果のある殺菌剤の散布や、周辺土壌の改良等の処置をとってきたのですが、なかなか効果がでず、今年は薬をより忌避効果の強いものに変更してみました。その効果あってか、今年は満開の桜です。

木山城址公園サクラ1

 先ほど、管理をされている役場の担当者の方とも話したのですが、一昨日日曜日ここで開かれたお祭りも、多くの人出でにぎわったそうです。
 これまで何年間も1~2分しか花をつけていない木の下でのお祭りは、さぞ、イマイチだったでしょうが、今年は盛り上がり方もひとしおだったことでしょう?
木山城址公園サクラ2

 しかし、今年、満開になったからといって、来年も鳥の害を避けられるとは限りません。やはり、野鳥に花芽を食べれえてしまう前の何らかの処置が必要だと思います。
木山城址公園サクラ3

 ここの桜は野鳥による食害で花付が悪くなった例ですが、これ以外の理由で桜の衰弱が多く見られます。たとえば、周辺の樹木の成長による日照不足が原因の衰弱や、腐朽による衰弱、テングス病等のソメイヨシノ特有の病気による衰弱があります。
 樹木医として今後も研鑽を積み、適切な処置がとれるように頑張っていこうと思います。


桜の他にも2012/04/06 16:57

 桜前線は関東地方まで北上を続け、これから東北など北日本の桜も徐々に開花してくるとの事。
熊本場内の桜は満開のピークを過ぎて、盛んに花を散らしていますが、新聞記事てみた上野公園はほぼ満開状態でした。今週末あたりが、東京では花見の絶好のチャンスではないかと思われます。
 咲き誇った満開の花の下で親しい同士が集まり、酒盛りをして楽しむのも良いのですが、私としましては花の季節以外でも桜の木の事を思ったりしてほしいです。秋の紅葉も意外と綺麗なのです。

 下の写真は京都市北区の桜の名所“平野神社”のしだれ桜です。境内には色々な種類の桜の木がうえられ、そのほとんどは蕾の状態だったのですが、この枝垂桜だけは5分咲きといったところでした。

平野神社しだれ桜


 この季節、そのボリューム感と、はかなくあっという間に散ってしまう事から、サクラの花ばかりに目が行きがちなのですが、実は色々な樹木の花の季節でもあります。

 下の写真は梅や桜と同じバラ科の樹木である花梨です。秋には小さなリンゴのような実をつけ、花梨酒の材料ともなります。花自体は遠目ではあまり目立ちませんが、近くから見るとリンゴの花に似た可愛らしいピンクの花を咲かせます。

花梨

花梨の花


 さらに、下の写真は上の花梨を撮影した同じ庭で咲いていたイロハモミジの花です。特徴としては葉が展開するのと同時に下向きの小さな花を沢山つけます。花が咲いた後には当然のごとく実をつけるのですが、実は5月頃には翼果と呼ばれ、下の部分が丸く膨らんだ2枚のプロペラのような形のものが姿をみせます。
イロハモミジ


 これから季節が進むと、カシやシイノキ等のブナ科の樹木やクスノキといった照葉樹の花の季節を迎えます。ただし、これらの花は華やかさという点では桜や梅には到底かないませんし、中には人間にとって嫌な臭いを発するものもあります。

 そういう意味でも日本人が古くからウメやサクラの花を特別に愛してきた理由は明白なような気がします。

庭の草花2012/04/19 11:41

 サクラもすっかり葉桜となってしまい、ハナミズキやツツジの花も咲き始め、春の本格的な花のシーズンとなってきました。
 そんな中、我が家の猫の額より小さな庭にも、春らしい彩りが出てきました。

 最初は、エビネランです。昨年のゴールデンウイークに福岡県東峰村で買い求めたものです。

海老茶色と花芯が白の組み合わせ
エビネラン海老茶白



白い花びらに花芯は黄色です。
エビネラン白


こちらは近所のホームセンターで買ったティアレラ。日陰でも結構増えます。
ユキノシタの仲間です。
ティアレラ


2年目を迎えた白いタイツリ草。夏の暑さに今年は枯れてしまうのかと思ってたら、何とか花をつけてくれました。
タイツリ草白


西洋カマツカの可憐な花。天気がよく気温が上がってくると、ミツバチが集まってきます。
西洋カマツカ



NHK文化センター巨樹・古木めぐり2012/04/26 11:31

 一昨日、春・秋恒例の現地講座に行ってきました。見学地は鹿児島県の霧島神宮~福山の夫婦イチョウ~蒲生の大楠の3か所です。いつもは5~6か所ほど見学するのですが、今回は鹿児島まで足を延ばすという事もあり、時間的な制約を受けたために3箇所となりました。

 霧島神宮へ向かうバスの車窓からみる九州山地の山々は、山桜や新緑に加え、キリやヤマフジの花が彩りを添えており、受講者の皆さんもとても満足の様子。秋の紅葉とは違った魅力を実感していただいたと思います。そういえば、子規の俳句に「故郷や どちらを見ても 山笑ふ」というものがありますが、きっと、この季節の同じような山の風景を見て読んだに違いありません!

 最初の霧島神宮はゴールデンウィーク前の平日にもかかわらず、参拝客の姿も多く賑わってました。歴史と神話の里の由緒正しい神社だからでしょうか、それとも、近年のパワースポットブームとも関係があるのでしょうか?

霧島神宮


 ここで見学したのはご神木である杉の巨木“霧島メアサ”です。樹高35m、幹周り7.3m、推定樹齢800年と紹介されています。

 境内の向かって右側にあるので、遠目にはそれほど目立ちませんが近づいてみると圧倒的な存在感です。因みに、メアサとは杉の品種の事で、最も古く(数百年前)から、南九州一円に挿し木が行われてきたと言われています。しかし、成長が遅く、若木の頃、幹や枝が曲がる性質の為に昭和30年代ごろからは、この地でもオビ杉と言う品種が植えられるようになりました。ただ現在では、メアサ杉の材としての強度の強さと、花粉症の原因物質であるスギ花粉の量の少なさが、見直されつつあります。


霧島メアサ


 2番目の見学地福山の夫婦イチョウは雨が降ってきたため、写真を取り損なってしまいました。申し訳ありません。ただ、推定樹齢1000年以上、幹周り7m以上の杉の巨木が神社の拝殿の前に対で立っている姿は圧巻です。機会があれば写真付きで紹介したいと思います。

 最後の、写真は日本一の巨樹と言われている蒲生の大楠です。鹿児島県姶良市の蒲生八幡神社境内にあります。幹周り24.2m、推定樹齢1500年、国の特別天然記念物に指定されています。
蒲生の大楠

 樹木の大きさは地上1.3mの所の幹周りであらわすのですが、この24.2mと言うのが日本最大となっているのです。雨の日の写真でアングルも悪く大きさが上手く伝わりませんが、幹はごつごつとしたコブ状の凹凸が多く見られ、シダや他の樹木も着床しており独特の躍動感が感じられます。

 雨の中の講座にもかかわらず、30名程の受講生の皆さんも「クスノキの大きさに圧倒されました!」などと喜びの声をいただき、担当者としても少しだけ肩の荷が降りたような気がします。

 次回こそは晴天に恵まれますよう、今から何らかの願掛けが必要なのかもしれません。
因みに、次回は出来れば熊本県内の紅葉の美しい樹木をメインに見学地を考えたいと思います。ご興味のあられる方は是非、NHK文化センター熊本教室までお申し込みください。