和風の庭2012/03/03 13:54

 今年の初め、今から3年ほど前に庭づくりをしたお宅から連絡を頂き、和室前の手つかずだった場所に和風の庭を作りたいとの相談を受けました。何度となく図面を持ってお邪魔し、打ち合わせを重ねた後、やっと本格的な施工の運びとなりました。
 
 広さは縦3.5m×横8m程度です。まず最初に植えてあったオリーブの木や下草を撤去し、下地となる赤土の客土を行いました。

K.J様邸着工前
   
 2tダンプ3台程の土を入れて、庭の下地はほぼできあがり。これから、垣根を作り、敷石や水場を作った後、樹木を植栽、最後に地被類を植えて完成です。 おそらく、10日ほどで作業は完了するものと考えていました。
赤土の客土

 しかし、このところの菜種梅雨と言っても良いほどの連日の雨、遅々として作業は進みません。客土後、玄関脇に御簾垣(竹垣)を設置したまま作業はストップ状態です。

施工現況

 下地が乾かないまま作業を行っても、かえって収拾がつかなくなるばかりなので、この状態で好天が続くのを待つことにします…。

山茱萸の花2012/03/08 14:12

 当社でソメイヨシノの管理をしている公園に、鮮やかな黄色の山茱萸の花が咲いていました。別名ハルコガネバナとも言うそうです。なんとなくぴったりのネーミングに思えます。
 
 春はどちらかと言えばバラ科植物の白やピンクの花の開花が話題となり、目立ちもするのですが、山茱萸の花を見ていると、透明感のある黄色の小さな花も悪くないと思ったりもします。

山茱萸の花

 山茱萸の木はヤマボウシやハナミズキの仲間に当たるミズキ科の樹木です。そういえば、写真は葉の展開前で分かりませんが、葉っぱはヤマボウシそっくりの形をしています。
 
 この木の根元の所に、下のような句が添えられていました。

    山茱萸の  花の細かさ  相触れず

山茱萸の花のまるで線香花火のような繊細さが伝わってくるようです。

句碑

長谷川素逝の俳句を調べていたら、次のような句がありました。

 春の夜の つめたき掌(て)なり  かさねおく

理解が違っているかもしれませんが、冷たくなってしまった掌をかさねるという箇所で、なんとなく3月11日の震災の事を考えてしまいました。

雨の日でも作業…2012/03/09 11:53

 前々回“和風の庭”というタイトルで紹介した庭造りの続編です。
 実はあの後も雨が降り続き、ただ指をくわえて待っているだけではらち空かないので、急ごしらえのテントを設置し、昨日から作業を開始しました。

 現場の担当者としても一度やりかかった現場を早く進めたかったのでしょう「社長、ビニールシートをテント代わりに作業をやります!」と言い出したので、どんなもんかと見に行ったところ、下の写真のようになっていました。
 
 完ぺきではないししろ、上から降ってくる雨水の侵入は防げているみたいです。


K.J様邸ビニールシート

 庭の真ん中程に正方形に敷石を配置し、今はツクバイを据えて、横の敷き瓦の配置を考えている最中です。
 ただ、配置は決まっても、土を掘って石を据えたり、瓦を置いた資する際に、濡れて重たくなった赤土と悪戦苦闘する日々がしばらく続きそうです。
K.J様邸雨天時の作業

 それから、「ビニールシートはいいアイデアね!」と言っていただきた施主のK.J様、玄関までの通路を塞いでしまってますね。申し訳ありません。

作業再開!2012/03/13 16:44

 雨の日続きだった天気も、ここ数日は回復して春らしい明るい日差しが戻ってきました。そこで、中断していましたKJ様邸の造園工事も再開。今日は樹木の植栽作業です。
 
 樹木と言っても松や槇の木を植えるのではなく、ヤマボウシ、枝垂れモミジ、ウメモドキ、アセビ等の雑木が中心です。それも株立ちのものや枝が曲がったものを使って、出来るだけ自然の雰囲気を出すのが、今の庭造りの主流となっています。
KJ様邸造園
 
 上の写真は敷石の脇にシャシャンボという、ツツジの仲間の常緑のブルーベリーといった雰囲気の樹木を植えている様子です。
 このような庭造りでいつも苦労するのが、自然樹形の常緑樹選びです。庭が広ければカシの木やアカマツなどこれまで用いてきたような樹種も植えられます。しかし、今の庭はそれ程広くないケースが殆んどで、周囲の落葉樹に合わせて雰囲気を壊さないものとなるとごく限られてきます。ソヨゴやハイノキ等を用いる事もあるのですが、これらの樹木はやや日陰になるような所でないと上手く育ちません。今回は知人の樹木医の方に勧められ、このシャシャンボという樹木を使ってみることにしました。
KJ様邸蹲踞周り

 上の写真は蹲踞周りです。水場を雰囲気を出すために敷き瓦を配置しても見ました。これから周囲には敷き砂利をして、ヤブコウジやセキショウ等の地被類を植える予定です。きっと、雰囲気もよくなると思います。

今年は大丈夫かな?2012/03/15 17:07

 昨年の10月にこのブログでご紹介しました熊本近郊某所の公園の桜ですが、今年こそは花が楽しめそうです。例年ならば野鳥(ウソ、或いはヒヨ)の食害に遭い、ほとんど花芽が無い状態なのですが、今年はご覧のとおり蕾が順調に膨らんでいます。
 この調子だと、今月の終わり頃には開花を始めるのではないかと思われます。

益城城跡公園サクラ蕾

 今年に限って、花芽が順調に膨らんだ理由として、冬場の低温で例年より野鳥の飛来数が極端に少なかったためなのか? 冬の初めに散布を行った忌避剤(殺菌剤)の効果なのか? 昨年の11月から一月に3~4回のペースで見張りに出かけた私の努力(汗)が実ったのか?のいずれかは定かではありません。しかし、何とかこのまま咲いてくれれば役場の方にも偉そうなことが言えそうです。

 来月1日の日曜日にはこの公園でお祭りが開催されるとの事。今年こそは満開の桜の下で町民総出のお祭りが盛り上がることを祈るばかりです。

遂に完成!2012/03/22 09:02

 このブログで過去3回に渡りご紹介している和風の庭(坪庭)がついに完成しました。工事の期間中雨にたたられ、一時は中断もありましたが、先日やっと出来上がりました。綺麗に整地が出来たことにより、施工中のグチャグチャの状態は無事解消、すっきりとした仕上がりになっています。

 下の写真は既設の園路(鉄平石張り)から全体を見渡した様子です。樹木は株立ちのヤマボウシやウメモドキ、モミジやアセビなど自然樹形の樹木を植栽しました。横に枝葉が張っておらず、1本1本の幹が細い分、空間の広がりというか、奥行きを演出できたのではと考えています。
K.J様邸完成1
 
 次の写真は玄関脇の蹲踞周りです。手水鉢は施主様がお持ちになっていたものを流用させていただきました。本来ならば棗型の物を考えていたのですが、設置してみればこれでも良いのかなという感じです。許容範囲内です。(笑)
 蹲踞の手前には焼き瓦を埋め込みセキショウを植栽して水場の雰囲気を演出してみました。手前の赤い実のなっている植物はセンリョウです。坪庭などにはよく使われいる植物で、切り花としても人気があります。
K.J様邸完成2

 最後の写真は蹲踞とは反対側に当たるコーナーです。奥にある石の水槽も施主様の家にあったもので「別に使わなくても良いんだけども、もしよかったら。」とおっしゃっていたので、喜んで使わせていただきました。下草のヤブコウジやフッキソウ、セキショウ等が育ってくれば、背景の石のグレーとマッチして、より雰囲気が出てくるのではないかと思います。
K.J様邸完成3

 私たちは昼間しか庭を眺める機会が無いのですが、最初の写真にも写っている通り庭園灯を3基設置しています。施主様が「昼間も良いけど、夜明り越しに庭を眺めるのもとても楽しみです。」とおっしゃっていただき、作り手としても大変ありがたく思っています。
 もうしばらくすると落葉樹が芽吹いてきます。またそのころに、お邪魔してみたいと考えています。