幹が空洞になった樹木 ― 2014/08/30 16:10
前回のブログてお伝えした福岡県大川市の風浪宮、その参道脇には大川公園という公園があります。ここには池を囲むようにマツやサクラ、ヤナギなどの樹木が植えられており、アヒルも放し飼いにされてたりして、のどかな雰囲気の公園です。
そこで、見つけたのは下の写真のような樹木です。よく見ると、幹の中段と下の根元付近にポッカリと穴が空いており、向こう側が透けて見える状態です。このサクラの木、正しく皮一枚で命をつないでいる状態になっています。
さらに次の写真のクスノキも!
こちらは向こう側こそ見えませんが、人が何人も入れるほどの大きな空洞が開いています。
これ程大きな空洞があるものの、木の勢いに衰えた様子はあまり見られません。なんという生命力の強さなのでしょうか?
空洞で有名なのは何と言ってもこの木ではないでしょうか?
皆さん御覧になった方もいらっしゃるのでは思うのですが、佐賀県武雄市にある武雄の大クスです。樹木自体も幹周が20mを超える全国でも屈指の巨木で、根元の空洞の広さは畳12畳分、中には天神様が祀られています。昔は樹木手前に見られる石の階段を昇って中の空洞に入ることが出来たそうですが、現在では樹木保護の目的で柵が設置されています。
俳優の浅野忠信主演の映画でも登場し、浅野が実際にこの空洞の中に入り、上を見上げながら昔を回顧するシーンが撮影されたとか?中がどうなっているのか私も入ってみたい気がします。武雄市から診断の依頼が来れば簡単なのですが…。
御覧頂いた3本の樹木は幹に大きな空洞を抱えながらも、比較的元気に生きています。
もちろん、幹の空洞は内部の組織が腐って欠落したために起こる現象ですので、樹木の老化や衰弱を示していることには間違いはありません。ただ、樹木は樹皮の内側にある形成層と呼ばれるごく薄い組織のみが生きており、私達が材木として利用している材部は死んだ組織の集まりなのです。内部が空洞になったからといって、その事が直接、樹木の生死に関わるような事はありません。
これは個人的な意見ですが、クスノキなどの巨木の場合、空洞があった方がかえって魅力的に感じます。武雄の大クスの圧倒的な存在感はその空洞があってのことだと思うのです。
幹に空洞が出来たからといって、そこにウレタンやモルタル等を充填すれば、内部の湿度が高まり、健全な部分まで腐朽が及ぶ恐れがあります。樹木のためにはかえって逆効果です。
空洞はそのままにして、樹木の根が伸びていく周辺の土壌環境を整えることが先決なのです。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。