街路樹の伐採 ― 2014/04/16 16:46
昨日、川崎市のショッピングセンターに植えられていたケヤキの枝が落下し、下を通りかかった6歳の女の子を直撃、頭の骨を折る重傷を負ったという痛ましい出来事が起きました。皆さんもテレビのニュースでご覧になったかと思います。女の子の1日も早い回復を祈るばかりです。
当社でもつい2~3週間ほど前、道路を管理する熊本市より依頼を受け桜の街路樹の診断を行ったばかりでした。目視による簡易診断ではあったのですが、何れの樹木も木槌で幹を叩くと、明らかに内部の空洞を示すような音が聞枯れました。加えて枝の衰弱や樹皮の異常、キノコの着生も見られたため、5本すべてを伐採という判断をし報告書を提出ました。その報告書に基づき昨日から伐採作業にあたっていた矢先のニュースだったのです。
下の写真は枝をクレーンで吊るしながら切断している様子です。
枝折れや幹折れの危険があるとの判断だったので、花後すぐの作業となりました。
幹回りが2m弱はあります。植えられて40年以上は経っている立派なサクラです。
切断面を見てみると、内部が空洞になっておりシロアリに食害された痕がはっきりと見て取れます。樹皮も完全に枯れており、一部が剥がれている状態です。
下の写真は隣のサクラの切断面です。幹の中心が完全に空洞化していますし、周囲の若干色が変わった部分も腐った箇所になります。
このまま放置していれば、枯れ枝や弱った枝が折れる事も十分に考えられるのですが、空洞になった幹が途中で折れて、もっと大きな被害を引き起こす可能性もありました。
川崎のケヤキも植えられて36年ほど経っているとテレビでは言ってました。おそらく、このサクラよりは後で植えられたものでしょう。
昭和50年代頃に植えられ、30年以上経過した街路樹が日本全国には沢山あります。植えられた当初は木も小さく根を伸ばしていくスペースも十分だったと思われますが、成長とともに窮屈な状態となり、ストレスを受けています。さらに、邪魔になるという理由で枝が切られたり、道路工事などの際に根が切断されています。植栽当初の一時期を除き、この30年近くの間は街路樹にとってまさに受難の連続と言っても言い過ぎではないはずです。
幹や枝や根に傷を負い、倒木や枝折れの危険が街路樹などの公共の樹木で高まっています。
樹木が関連する事故を防ぐためには、事前の樹木診断が不可欠だと思います。まだまだ、一般には普及していない考えですが、我々樹木医がお役に立てるように、より一層頑張っていく必要がありそうです。
コメント
_ くーみ ― 2014/04/21 18:23
深い共感を覚えつつブログを拝見しました。町が焼け跡から復興し美しい町づくりが叫ばれ、緑化運動が盛んだった頃、日本国中でいっぱい樹木が植えられましたね。でも樹木も人間と一緒で老いて行くし、病気になるしほったらかしでは命が終わると言う事を、しみじみ考えさせられました。杜の都と歌われたわが熊本(わたしの小学校校歌です)の樹々を守って下さる事を嬉しく有難く思います。改めて皆がそういう事を考える警鐘でした、ケヤキの事故は。あの子供さん、ほんとに早くよくなってほしいですね!樹木医さん、がんばってください(ー_ー)!!ではまた・・・・。
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