階段工事その32014/04/05 13:49

 1月の終わりのこのブログでご紹介した階段工事の続報です。と言っても年度末の仕事に明け暮れている間に、あれから2ヶ月以上経ってしまいました。
古い、木製の階段を撤去したこ所まではご報告していたと思いますが、今朝、現場を訪ねてみたらご覧んのような状況となっていました。

古代の森階段1

 ここは古墳公園の下の駐車場からの登り口です。ほぼ完成といった所でしょうか?


古代の森階段2

 実際に登ってみると階段は意外と急です。上の写真右側にはモノレールの架線が映っています。工程上、資材はすべて下の駐車場から上に上げるしか方法がなかったため、このモノレールは大活躍してくれました。これがなければこの工事を完成出来なかったに違いありません。(汗)

古代の森階段3

 階段の部材はコンクリート製の擬石です。重いもので1個あたり90kg程度、取り扱いが大変なため、遅々としか進まない日々もありました。しかし、まっすぐに目地を通して出来上がったものを見ると、実際に作業をしていない私でさえ、それなりの達成感があります。

古代の森階段4

 階段も残り1区間、最後の区間は幅が狭くなっているせいもありますが、きっと作業に慣れてきたのでしょう、これまで以上の急ピッチで積み上げられています。石段が出来たら、最後に金属製の手すりを階段中央に設置すれば完成です。あと、2〜3週間といった所でしょうか?最後まで安全な施工を心がけます。
 

遅いお花見2014/04/07 08:17

 熊本城のサクラはすっかり葉桜となり、ここ九州では先週でお花見はほぼ終わってしまいました。しかし、私は丁度このときインフルエンザに罹ってしまい、お花見だけではなく、知人の歓送迎会にも出席できず、実に情けない週末を過ごすことになっていたのです。この間、京都に住む娘から送られてくる醍醐寺や東寺、哲学の道等々の美しいサクラの写真を眺めるしか出来ず、ただ、手をこまねいて見ている状態だったのです。
 インフルエンザもすっかり回復し、久々のゆっくりとした休日となった昨日、このまま一度も花見をせずに、春を越すのもむなしいと思い、どこかまだ咲いている場所はないかと考えついたのが、ここです。

観音桜

 熊本市内から車で一時間あまり、南阿蘇村の”観音桜”です。このブログでも丁度一年前に取り上げたことがあります。街中のサクラと同じソメイヨシノという品種ですが、さすがは阿蘇、その冷涼な気候のせいで熊本市内より1週間遅れで見頃を迎えていました。

 幹周りは3m足らずといったところでしょうか?ソメイヨシノにしては老木には違いないのですが、しだれ桜や山桜の古木に比べると樹木自体は小ぶりです。ただ、ソメイヨシノ特有の花の豪華さと、阿蘇山を背景に1本だけ原野の中に立って色を添えている姿はけなげという言葉がぴったりです。
 朝の早い時間に出掛けてきたつもりですが、それでも下の専用駐車場はほぼ満車状態、皆さん思い思いの構図で美しい姿をカメラに収められていました。

帰り道は、お隣高森町の千本桜を観て帰りました。車窓からは4月にしては珍しく雪化粧の阿蘇山を眺めることができました。季節の移り変わりをしっかりと実感できる1日となりました。
 熊本城の桜は見逃してしまったのですが、今年もこれで良い春が越せそうです。

阿蘇山雪化粧







春の江津湖畔2014/04/14 14:02

 昨日の冷たい雨も上がって快晴となった今日、久しぶりに下江津湖の公園に出かけてみました。
 桜の季節が終わるこの時期あたりから、公園も人出が増えてきます。丁度、幼稚園の遠足でしょうか、先生に引率された子供たちがシロツメクサやレンゲの花を摘んで遊んでいました。

広木公園での遠足

 白鷺も水の中の魚を狙って、草陰に身を潜めています。ここでは、こういった光景は季節を問わず、1年中見られるのですが、特にこの時期は鳥の姿も鮮やかで躍動感に溢れている気がします。

白鷺
 
 エノキやナンキンハゼなどの落葉樹にも新しい葉が開き始めています。日差しも暖かく柔らかで、散歩するのは最高の季節かも知れません。1週1.5キロ程の散策路も丁度いい運動になりそうです。

広木公園散歩

 この公園の中で私のお気に入りの場所です。芦原が途切れている場所から、湖面が広く見渡せて、対岸にはボート部の艇庫や動植物園の緑、そして遠くには熊本のシンボル金峰山も望む事が出来ます。
 今日は少し風があったせいでしょうか、雲も殆どなく、晴れ渡った青空と小さく波打っている湖面のコントラストが大変奇麗です。

下江津湖畔

 これからも、季節の移り変わりとともに表情を変える江津湖の様子を、皆様にお伝えできればと思います。

街路樹の伐採2014/04/16 16:46

 
 昨日、川崎市のショッピングセンターに植えられていたケヤキの枝が落下し、下を通りかかった6歳の女の子を直撃、頭の骨を折る重傷を負ったという痛ましい出来事が起きました。皆さんもテレビのニュースでご覧になったかと思います。女の子の1日も早い回復を祈るばかりです。

 当社でもつい2~3週間ほど前、道路を管理する熊本市より依頼を受け桜の街路樹の診断を行ったばかりでした。目視による簡易診断ではあったのですが、何れの樹木も木槌で幹を叩くと、明らかに内部の空洞を示すような音が聞枯れました。加えて枝の衰弱や樹皮の異常、キノコの着生も見られたため、5本すべてを伐採という判断をし報告書を提出ました。その報告書に基づき昨日から伐採作業にあたっていた矢先のニュースだったのです。

 下の写真は枝をクレーンで吊るしながら切断している様子です。
 
 
桜の伐採1
 


 枝折れや幹折れの危険があるとの判断だったので、花後すぐの作業となりました。
幹回りが2m弱はあります。植えられて40年以上は経っている立派なサクラです。
 
桜の伐採Ⅱ

 
 切断面を見てみると、内部が空洞になっておりシロアリに食害された痕がはっきりと見て取れます。樹皮も完全に枯れており、一部が剥がれている状態です。
シロアリの食害痕

  下の写真は隣のサクラの切断面です。幹の中心が完全に空洞化していますし、周囲の若干色が変わった部分も腐った箇所になります。
幹の空洞

 このまま放置していれば、枯れ枝や弱った枝が折れる事も十分に考えられるのですが、空洞になった幹が途中で折れて、もっと大きな被害を引き起こす可能性もありました。

 川崎のケヤキも植えられて36年ほど経っているとテレビでは言ってました。おそらく、このサクラよりは後で植えられたものでしょう。
 昭和50年代頃に植えられ、30年以上経過した街路樹が日本全国には沢山あります。植えられた当初は木も小さく根を伸ばしていくスペースも十分だったと思われますが、成長とともに窮屈な状態となり、ストレスを受けています。さらに、邪魔になるという理由で枝が切られたり、道路工事などの際に根が切断されています。植栽当初の一時期を除き、この30年近くの間は街路樹にとってまさに受難の連続と言っても言い過ぎではないはずです。
 幹や枝や根に傷を負い、倒木や枝折れの危険が街路樹などの公共の樹木で高まっています。
 樹木が関連する事故を防ぐためには、事前の樹木診断が不可欠だと思います。まだまだ、一般には普及していない考えですが、我々樹木医がお役に立てるように、より一層頑張っていく必要がありそうです。

 


芭蕉の間引き2014/04/30 14:13

 先週の土曜日に江津湖公園のボランティアに行ってきました。今回の活動内容はタイトルにもあるように芭蕉の間引きです。公園内の出水地区(県立図書館横)には湧水が幾筋も流れており、そこに芭蕉が茂った様子はどこか南方の異国の雰囲気があります。この芭蕉の林内には高浜虚子の『縦横に 水の流れや 芭蕉林』という句碑があり、古くからその風景が多くの人たちに愛されていたという事がわかります。

 しかし、芭蕉は多年草であり、放置していれば次から次へと新しい芽を出して周囲に暗がりが出来て、公園の中では防犯上問題があるという事になってきました。そこで、数年前から公園管理を担当している熊本市の造園建設業協会では年に1度間引き作業をボランティアとして行っています。

 伐採作業は茎の直径が20〜30㌢ほどに成長した芭蕉をノコギリや鎌を使って根元から切り倒します。更に、切り倒した茎を長さ1.5㍍ほどに切り揃え、人力でごみ収集用の車まで運んで行くという作業です。

間引き作業1

 全てが人力での作業ですので、多くの人出が必要です。この日も造園協会会員の若手を中心に50名ほどが参加してくれました。

間引き作業2
 
 下の写真の奥に小さく見えるのが積み込み用の車両です。2トン程積めるのですが、この日は10台近く稼働させて積み込みました。

間引き作業3

 下の写真は作業完了後に撮影したものです。芭蕉林内もすっかり明るくなって、見通しが確保できるようになりました。

間引き後1

 かつては鬱蒼とした暗がりで、水の流れも黒く淀んだように見えていた場所もご覧のとおり、透き通って綺麗に見えます。

間引き後2

 この日の作業は2時間半ほど、午前中で無事終了したのですが、最後になってゴミを搬出しようとした収集車両がぬかるみに嵌り込んで出られなくなりました。近所の建設機械レンタル会社からショベルカーを借りてきてやっと脱出できたのが午後2時を過ぎていたそうです。お世話をされていた協会スタッフの方数名はずっと現場でお手伝いをされていたとのこと、大変ご苦労さまでした。

 このボランティアはかなり重労働でノコギリや鎌を使うということもあり、造園協会会員のみの参加となります。しかし、前回紹介したウォーターレタスの駆除など一般の方々も気軽に楽しく参加できるプログラムもありますので、皆様の中で是非我もと思われる方は(一社)熊本市造園建設業協会までお気軽にお問い合わせください。近年、私も江津湖関連のボランティアに参加させて頂いているのですが、かけがえのない江津湖の自然を守るには、一般市民の方々のご協力なくしては実現不可能だと、つくづく感じています。